真皮は、皮膚の90%を占めるとても大切なパーツで、コラーゲンなどが存在します。
しかし、エイジングケア化粧品が浸透しないパーツです。
そんな真皮のアンチエイジングやエイジングケアは、日常生活がとても大切。
この記事では、真皮の構造と役割をご紹介します。
30歳を超えてエイジングケアを意識される女性は、しっかりとご理解下さいね。
- 真皮は、表皮の奥にある約1.8mmの皮膚組織です。お肌のハリと弾力に大きな影響を与えます。
- 真皮には、お肌のハリや弾力の源であるコラーゲンやエラスチンがあり、それをつくり出す線維芽細胞もあります。こうした成分や細胞がお肌のハリや弾力を支えているのです。
- さらに、真皮にはプロテオグリカンやヒアルロン酸も存在し、水分の保持も担っています。つまり、肌内部のうるおいを保つ役割もあるのです。
- 真皮は、表皮と違って、一度ダメージを受けてシワやたるみができると、改善や修復が難しいパーツです。だから、エイジングケアだけではなく、アンチエイジングを意識した日常生活を意識して予防美容的な視点で衰えを防ぐことが大切です。
- 真皮の老化によるほうれい線やシワは、エイジングケア化粧品だけでは消せません。対策の基本は、紫外線を予防することです。また、アンチエイジングを意識した生活習慣も大切です。
化粧品成分上級スペシャリスト&京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
CONTENTS
1.真皮の老化を防いでエイジレスな美肌を保ちたいあなたへ
「真皮とは?構造と役割を知ってエイジレスな美肌を!」をお届けします。
真皮(dermis)とは、その名のとおり皮膚の本丸。
肌老化のない美肌のためには、健やかな状態をキープすることが大切です。
そんな真皮ですが、動物から取ったものがベルトや靴などの皮製品の原料として使われるほどしっかりしています。
さて、お肌は、表面から表皮、真皮、そして皮下組織から成り立っています。
表皮の厚さは0.2mmなのに対して、真皮は1.8mmと、お肌の90%を占めます。
その点では、真皮こそがお肌の本体なのです。
表皮は、バリア機能とターンオーバーの役割を担っていますが、真皮の役割は、お肌のハリや弾力を保つこと。
そして、真皮内の毛細血管によって栄養素と酸素を皮膚のすみずみまで届けることです。
真皮の状態が、エイジングケア世代の代表的な肌悩みである“シワ”や“たるみ”と大きく関係しているのはご存じでしょうか?
それは、なぜでしょうか?
真皮内には、線維芽細胞というお肌のハリや弾力に大きな影響を与える細胞があります。
この線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった「肌のハリ成分」をつくり出していますが、紫外線や活性酸素、加齢によってそのはたらきが低下します。
では、お肌のハリや弾力が弱くなっていくのを、どうやったら防げるのでしょうか?
多くのエイジングケア世代の女性が気になるのはこの点ですね?
この記事では、「真皮」について、その仕組みや役割をご紹介します。また、若々しく保つためのエイジングケアやアンチエイジングの方法をご紹介します。
「真皮って皮膚のどこにあるの?教えて!」
「真皮の構造って?何からできているの?」
「真皮の役割とは?なぜ大切なの?」
「真皮を若い状態に保って、肌老化を防ぎたい!おすすめの方法は?」
「エイジングケア化粧品は真皮をケアできないって本当?」
などが気になる方はもちろん、シワやたるみなどをとにかく少しでもなんとかしたい!という方、また今はそこまでお悩みでない方も、ぜひ、続きを読んでみてください。
<動画で見るエイジングケア>
真皮の線維芽細胞の役割
<真皮のコラーゲンを生み出す力をチェックしたいなら!>
2.真皮の構造
<真皮を含む皮膚構造>
1)真皮の構造の前に、お肌の構造を知ろう!
真皮の構造を理解する前に、皮膚全体の構造について簡単におさらいましょう。
皮膚は、「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3つの層から構成されています。
①表皮の構造
「表皮」は4つの層に分かれていて、表皮の一番奥の基底層で新しい細胞をつくり出しています。
それが約4週間かけて、表皮の一番上の角層まで押し上げられて、最後は垢となって剥がれ落ちるサイクルを繰り返しています。
いわゆる、ターンオーバーです。
また、表皮は、からだを外界の刺激や紫外線から保護するバリア機能という役割も担っています。
表皮の構造やその役割については、「表皮の構造と役割を知って正しい保湿とスキンケアを知ろう!」や「表皮の角質層の構造・はたらきと角質ケアの方法・対策は? 」で詳しく紹介しています。
また、お肌のターンオーバーについてお知りになりたい方は、「お肌のターンオーバーの改善と正常化は促進だけではNG!」を参考にしてください。
この表皮の奥が基底膜で、それと真皮の最上層がつながっているのです。
②皮下組織の構造
真皮の下には、皮下組織があります。
皮下組織は皮膚の3層構造のもっとも下方にある組織で、表皮と真皮を支えています。
そして、皮下組織は多量の脂肪を含んだ組織で、血管・神経・汗腺などを保護しています。
皮下組織の平均的な厚さは、頭部、額、鼻などで約2mmと薄めですが、大部分は4mm~9mmです。
皮下組織は、真皮と筋肉の間に挟まれていて、中性脂肪いわゆる皮下脂肪を蓄えるところです。
この皮下脂肪によって、外部からの衝撃や刺激を和らげるクッションの役目を果たしたり、体温の発散を防いだり、保温するはたらきがあり、からだを守る大切な役目を担っています。
さらに、皮下組織には動脈や静脈が通っているので、真皮へと栄養を送りこんだり、老廃物を運び出しています。
皮下組織については、「皮下組織と皮下脂肪の構造と役割。たるみ・ほうれい線を意識!」をご覧ください。
2)真皮の構造を詳しく知ろう!
それでは、この記事の本題である真皮の構造を詳しく見ていきましょう。
いま、説明したように真皮は、表皮と皮下組織の間にあります。
①真皮の構造
真皮は、お肌の表面に近い方から、乳頭層、乳頭下層、網状層の3つの層から成り立っています。
真皮層としては、からだの部位にもよりますが、表皮の15~40倍の厚さがあります。
乳頭層は、真皮の最も上にあって、表皮と接している部分です。
コラーゲンやエラスチンは少なく、毛細血管や神経、細胞がたくさんあります。
乳頭下層は、乳頭層の奥の部分で、乳頭層とよく似た構造です。
そして、その奥が網状です。
網状層は、真皮の最も大きな層で、コラーゲンやエラスチンがたくさんあります。
また、まばらながらも血管や神経も走っていて、すぐ下には皮下組織があります。
ただし、表皮の層は明確に分かれていますが、真皮層はそれほど明確ではありません。
②真皮の中には何があるの?
真皮の役割はなんといっても、お肌を支えて「ハリ」と「弾力」を保つことです。
このハリと弾力を保つことができるのは、真皮内に、次の組織や器官があるからです。
- コラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質でできた線維組織
- その線維組織の間を埋めるプロテオグリカンやヒアルロン酸に代表されるゼリーのような間質成分
- コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などをつくり出す線維芽細胞
- 細胞外マトリックス糖たんぱく質であるテネイシンC
- そのほかの細胞成分として、組織球(マクロファージ)、肥満(マスト)細胞、形質細胞
- 神経
- 汗腺
- 血管
なかでも、線維組織であるコラーゲンは、真皮全体の70%以上を占めています。
コラーゲンはたくさんの種類がありますが、真皮にあるコラーゲンはⅠ型とⅢ型で大部分を占めます。
量としては、Ⅲ型コラーゲンはⅠ型より少ないのですが、肌の柔らかさを保つ上でとても大切です。
そして、真皮内の毛細血管によって、お肌のすみずみまで、栄養素と酸素を届けています。
3.真皮の特徴と役割・はたらき
真皮で大きなウエイトを占めるのは、コラーゲンです。
それに加えて、エラスチンやヒアルロン酸、プロテオグリカンが相互に関係しながら、肌を支えて形をつくります。
また、弾力を生み出してクッションの役割も果たします。
さらに「血管」「リンパ管」や、「皮脂腺」「汗腺」などの付属器があり、生理的な機能を担います。
その意味でも真皮は、まさに肌の本体といえます。
そんなお肌のハリ・弾力をサポートする真皮内の成分ですが、それぞれがどういった特徴を持ち、どういったはたらきをするのかを説明します。
1)コラーゲンの特徴と役割・はたらき
コラーゲンは、3重のらせん構造になっていて、真皮の中で網目状のネットワークをつくり、お肌の弾力を維持しています。
コラーゲンは、アミノ酸からできたたんぱく質です。
コラーゲンを形成するアミノ酸は、グリシンやプロリン、ヒドロキシプロリン、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、セリン、リジン、スレオニンなどです。
コラーゲンの束は、膠原線維(こうげんせんい)と呼ばれます。
コラーゲンは、そのイメージから柔らかいゼリーのようなものを思い浮かべるかもしれませんが、あれは、コラーゲンに熱を加えた「ゼラチン」のものです。
実は、レザーのようにやや硬く、伸縮自在というような性質ではありません。
イメージとしては、オートバイなどに乗る際に着る、「皮のスーツ」に近いものです。
真皮では、最も多いのがⅠ型コラーゲンで、皮膚の強さを生み出しています。
次いで多いのが、Ⅲ型コラーゲンです。
Ⅲ型コラーゲンは、コラーゲン線維とは別の、細網線維(さいもうせんい)と呼ばれる細い網目状の構造を形成しています。
コラーゲンについての詳しい情報は、「コラーゲンのエイジングケアとアンチエイジングの効果と役割」をご覧ください。
2)エラスチンの特徴と役割・はたらき
エラスチンは、ゴムのような弾力を持つ成分で、束になると「弾性線維」とも呼ばれています。
エラスチンもコラーゲンと同じく、たんぱく質です。
エラスチンは、真皮全体のたった2%程度しかありませんが、コラーゲンの網目状のネットワーク部分をしっかり束ねて、支えるはたらきをしています。
コラーゲン不足もそうですが、エラスチン不足も、「シワ」や「たるみ」の原因の1つとなるので、量は少なくてもお肌にとっては重要なたんぱく質です。
エラスチンについての詳しい情報は、「エラスチンのエイジングケア効果と化粧品成分としての役割」をご覧ください。
3)ヒアルロン酸の特徴と役割・はたらき
ヒアルロン酸は、コラーゲンとエラスチンによって形づくられたネットワークの隙間を埋めるゼリー状の成分で、真皮の構造を安定させる役割を担っています。
ヒアルロン酸は、アミノ酸と糖分が何重にも重なってできているムコ多糖類と呼ばれる成分で、ヒアルロン酸は、真皮だけではなく表皮にもあります。
ヒアルロン酸の詳しい情報は、「ヒアルロン酸の保湿効果にはデメリットがあった!その秘密と安全性」をご覧ください。
4)プロテオグリカンの特徴と役割・はたらき
プロテオグリカンは、糖とタンパク質の複合体で、ヒアルロン酸やコラーゲンの産生を促進する作用があります。
プロテオグリカンには何種類かあり、お肌の真皮層にあるものは「ヴァーシカン」などです。
プロテオグリカンについては、「プロテオグリカンはアンチエイジングやエイジングケアで期待」をご覧ください。
5)線維芽細胞のはたらき
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンは、真皮の線維芽細胞のはたらきによってつくられています。
線維芽細胞が活発にはたらいている間はコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸の産生や新陳代謝が適切に行われ、ハリと弾力あるお肌がキープできます。
しかし、老化や紫外線などのダメージにより、線維芽細胞が衰えてはたらきが悪くなると、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸を産生する力が減ってしまいます。
その結果、真皮の組織は緩んだ状態となり、皮膚のシワやたるみの原因となってしまいます。
つまり、エイジングケアの観点からは、線維芽細胞を若々しい状態に維持することが大切なのです。
6)マクロファージ(組織球)のはたらき
真皮まで入ってきた細菌や異物の対応をしたり、組織の修復、抗炎症作用などの免疫系の調節機能を担っています。
7)マスト細胞(肥満細胞)のはたらき
真皮にあるマスト細胞は、肥満細胞とも呼ばれますが、肥満とは関係ありません。
肥満細胞は、真皮だけではなく気管支、鼻粘膜など外界と接触する組織の粘膜や、結合組織などさまざまな組織の血管の周りに多くある免疫細胞です。
生体防御機構と呼ばれる、炎症や免疫反応などに重要な役割を持ちます。
Ⅰ型アレルギーと関係の深い細胞です。
8)そのほかのハリ、弾力をサポートするもの
真皮の主な役割を見てきましたが、これ以外にもまだその役割やはたらきがあります。
汗腺は、汗を出すことで、体温を調節したり、お肌に水分を与えます。
血管は、皮膚に栄養や酸素をめぐらせる役割を担っています。
4.真皮とエイジングケア化粧品
1)エイジングケア化粧品は真皮に浸透する?
このように、真皮はお肌にとっていくつもの重要な役割を担っているのです。
そして、エイジングケアをする上でも、いかに真皮を健康な状態に保てるかがカギとなります。
そのために、まずは毎日、エイジングケア化粧品でのお手入れをされている方は多いと思います。
では、この真皮にまで、エイジングケア化粧品の成分は届いているのか?と問われれば、答えは「YES」とはいきません。
なぜなら、薬機法(旧 薬事法)では、化粧品について、その成分が届く範囲を「角質層まで」と定義しているからです。
だから、化粧品の広告でも「真皮層まで浸透する」という表現は禁止されています。
また、繰り返しになりますが、エイジングケア化粧品のケアの範囲は表皮であって、真皮ではありません。
だからといって、まったく化粧品や医薬部外品が絶対に真皮に届いていないともいえませんが、基本的には、真皮は化粧品の対象外なのです。
つまり、エイジングケア化粧品はあくまで予防美容のためのアイテムです。
一方、医薬部外品の中にはシワ改善の有効成分であるニールワンやレチノール、ナイアシンアミド(リンクルナイアシン)などは真皮への作用が認められています。
しかし、深いしわを消すまでの効果は期待できません。
だから、医薬部外品だけでは真皮はケアできません。
そのため、自分自身の真皮を活性化させるには、栄養バランスのよい食生活や適度な運動、十分で質のよい睡眠などアンチエイジングを意識した生活で、線維芽細胞や真皮の血管など若々しくすることが重要なのです。
2)真皮の成分と化粧品成分の関係
コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンは、エイジングケア化粧品の成分としても、よく耳にされると思いますが、もともと、真皮にあるものなのです。
そのため、混乱されることがありますが、化粧品に配合するこれらの成分は「保湿成分」であり、元来、人が持っている成分と同じはたらきをするものではありません。
また、化粧品で補ったこれらの成分が、そのまま自分自身の成分になることもありません。
5.真皮が衰える原因
<真皮:衰えた肌と若々しい肌>
真皮の機能が衰える主な原因として、「紫外線」、「細胞の酸化」、「お肌の乾燥」「加齢」が挙げられます。
年を取ることは自然の摂理のため、抗えません。
でも、お肌の酸化や紫外線は、気を付けることができます。
真皮は、表皮と違って1カ月から数カ月以内でターンオーバーするのではなく、生まれ変わりに3年以上かかるといわれています。
だから、真皮の老化をもたらす原因を避けることがエイジングケアになるのです。
まずは、酸化や紫外線、お肌の乾燥が真皮に悪い理由をお話しします。
1)細胞の酸化で真皮が衰える
私たちは生まれた時から、絶えず呼吸しています。
そして、呼吸によって体内に取り込んだ酸素が一部、活性酸素に変化します。
活性酸素はある程度は必要ですが、過剰にできてしまって、脂質と結合することで過酸化脂質(酸化してしまった脂質)となります。
これが、細胞を「錆びさせる」原因です。
細胞の錆びは、お肌や体内の組織にダメージを与えて、体内に溜まっていき、線維芽細胞のはたらきを弱めます。
そして、真皮内のコラーゲンやエラスチンを硬くし、皮膚からハリや弾力を奪い、老化を進めます。
さらに、活性酸素で体内が酸化すると、真皮や肌老化だけでなく、生活習慣病や認知症、がん、動脈硬化などの病気を引き起こす大きな要因になるともいわれています。
活性酸素が産生される原因としては、紫外線、喫煙、ストレス、大気汚染といった外的要因や、脂質の多い食事、添加物の多い食事などが挙げられます。
とはいうものの、生きている限り、活性酸素を発生するのを避けることはできません。
日常生活などに気をつけて、なるべく活性酸素が発生しないような対策については、次の章でお話しします。
なお、酸化についてさらに知りたい方は、「お肌の酸化は老化の大敵!防ぐための対策とエイジングケア」をご参考にしてください。
2)紫外線ダメージで真皮が衰える
紫外線ダメージも真皮の大敵です。
紫外線を長い間浴び続けていると、シワやシミ、ほうれい線、たるみといったエイジングサインが出てきます。
これを「光老化」といいますが、真皮が長い期間のダメージを受けた結果なのです。
お肌の老化の原因は、約2割が加齢によるもので、残り約8割が紫外線によるダメージです。
この紫外線にはUVA、UVB、UVCとありますが、お肌に届くのはUVAとUVB。
このうち、真皮にまで届くのは、地上にある紫外線の約95%を占める「UVA」です。
中でも、波長の長いロングUVAが悪影響を与えます。
真皮にまで届いた紫外線は、少しずつ蓄積していき、真皮内のコラーゲンやエラスチンを変性させます。
そのため、真皮のはたらきが少しずつ低下していき、シワやたるみが起こりやすくなります。
また、紫外線は活性酸素を発生させる要因でもあります。
紫外線によるお肌の老化について詳しく知りたい方は、「光老化とは?紫外線による肌老化のメカニズムと対策・治療法」をご覧ください。
さらに、最近ではブルーライトや近赤外線も真皮にダメージを与えると考えられています。
3)最近、注目の糖化
たんぱく質と糖が結びついて、体内にAGEs(終末糖化産物)が溜まること糖化といいます。
真皮の中のコラーゲンやエラスチンはたんぱく質なので、体内に過剰な糖があれば糖化を起こしてしまいます。
これも真皮が衰える原因です。
糖化について詳しくは、「糖化はからだや肌の老化の原因!健康と美肌のための対策の基本」や「肌老化の原因「糖化」を予防する対策は5つのポイントで!」をご覧ください。
4)女性ホルモンの減少で真皮が衰える
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲストロン(黄体ホルモン)があります。
このうち、 エストロゲンは、表皮細胞の増殖を促したり、真皮のコラーゲンやヒアルロン酸を増やします。
しかし、その分泌量は、30歳から30代半ばでピークとなった後に減少し、50代半ば前後の閉経とともに急激に減ってしまいます。
その結果、真皮が衰えるのです。
だから、40代のエイジングケア世代や50代のエイジングケア世代の女性は特に注意が必要です。
5)お肌の乾燥
意外かもしれませんが、お肌の乾燥も真皮の衰えの原因になることがあります。
それは、お肌の乾燥が続くと、バリア機能が衰えるからです。
表皮と真皮はつながっているので、バリア機能の低下が長く続くと、真皮にも悪影響を与えるのです。
お肌の乾燥の対策は、「乾燥肌の予防や改善対策は正しいエイジングケアが大切! 」をご覧ください。
また、真皮と乾燥肌では、最近の研究で真皮のマスト細胞やそこから分泌される低分子の糖タンパク質であるサイトカインが関係していることがわかってきました。
これら5つ以外でも、コラーゲンの「カルバミル化」やエラスチンの「ニトロ化」も真皮の衰えの原因になります。
6.真皮の衰えによるお肌悩みとエイジングケアの基本
1)真皮の衰えによるお肌悩み
真皮の衰えが原因でできるエイジングサインは、主にシワとたるみです。
シワでは、真皮じわが真皮の衰えによるものです。
たるみには、ほうれい線、マリオネットライン、ゴルゴライン、二重あご、目の下の黒くま、目の下のたるみ、たるみ毛穴などがありますが、これらは、すべて真皮の衰えがその原因の1つです。
これらのエイジングサインが目立つことで、目元のハリや口元のハリも失われます。
そのほかでは、しみの一種であるADM(=Acquired Dermal Melanocytosis、後天性真皮メラノサイトーシスまたは遅発性太田母斑様色素斑とも呼ばれる)も真皮内でメラニンが増加したものです。
だから、真皮を守るスキンケアやエイジングケアは、さまざまなお肌悩みの対策になるのです。
それでは、真皮のエイジングケアの基本として、具体的にどのようにしていけばよいか、ご紹介します。
2)紫外線対策
なんといっても、基本は、たるみやシワに大きな影響を及ぼす「紫外線からお肌を守る」ことが大切になります。
そのためには、次のような紫外線対策が大切です。
- 紫外線の強い時間帯(午前10時~午後2時頃)の外出を避ける
- 外出時はなるべく日陰を利用する
- 日傘を利用したり、帽子をかぶる
- 袖や襟のある衣服でからだを覆う
- サングラスをかける
- 日焼け止めクリームを使う
(環境省「紫外線環境保健マニュアル」)
紫外線対策は夏に特に大切ですが、そのほかの季節でも行う必要があります。
なぜなら、冬でもUVAによって真皮がダメージを受けるからです。
季節別の紫外線対策をしっかり行って真皮を守るために、次の記事を参考にしてください。
*春の紫外線対策。しっかりブロックして日焼けの無い美肌をキープ!
*夏の紫外線対策はエイジングケアの要!UVカットで美肌キープ
*秋も紫外線対策は大切!斜め横からの光線を日焼け止めでブロック
また、そのほかに、UV対策用化粧下地やファンデーションをつけることもオススメします。
紫外線対策について詳しく知りたい方はコチラの記事もご参考にしてください。
*外出時の紫外線による日焼けのアフターケアはビタミンACEで!
3)線維芽細胞を元気にする
真皮にある線維芽細胞が弱るとコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などが減っていくので、これらの成分を補給したいところですよね。
最近では、コラーゲンやエラスチンにアプローチするエイジングケア化粧品成分が出てきています。
ナールスゲンやネオダーミルといったエイジングケア化粧品成分は、コラーゲンやエラスチンを増やす実験データがあります。
そのほかにも、レチノールやレチノイン酸トコフェリルなどのビタミンA(誘導体)やビタミンC(誘導体)、ビタミンE(誘導体)といったエイジングケア化粧品成分も、線維芽細胞の活性化に期待ができます。
しかし、化粧品成分のはたらきが、エイジングケア化粧品のはたらきではありません。
あくまで真皮の衰えの予防的な効果を期待できるだけです。
だから、ほうれい線を消すなどは難しいのです。
4)乾燥肌対策で真皮を守る
真皮だけでなくお肌全体として、老化を緩やかに進めるには、エイジングケアの基本である「保湿」をしっかりすることです。
表皮の角質層の水分保持機能を正常に保てるよう、エイジングケア化粧品は、セラミドやヒアルロン酸、プロテオグリカンといった保湿力の高い成分を含んだ保湿をターゲットとした化粧水でお手入れしましょう。
また、美容液や保湿クリームで、より保湿力を高めるケアをするのもオススメです。
真皮の構造を健康な状態に維持して、艶やかな素肌をサポートするために、ぜひ、「お肌の保湿とは?本当にわかるスキンケアの基本と保湿成分」をお読みください。
<参考記事>
*化粧水不要論の根拠「お肌の角層に水分は浸透しない!」は本当?
7.真皮のために日常生活で出来るケアとは?
紫外線対策やエイジングケア化粧品以外で、真皮のために、というよりも真皮の細胞を元気にするためには、バランスのよい食事、質がよくて十分な睡眠、ストレスが少ない日々を送り、自分のからだ全体を健康的に維持するためのエイジングケアが必要です。
1)食べ物で真皮のエイジングケア
からだが酸化しないよう、抗酸化力の高い食べ物を積極的に取り入れましょう。
からだの栄養バランスが整うと、お肌の隅々に栄養素と酸素を届ける血行もよくなります。
真皮のエイジングケアにも役立つ抗酸化力の高い食べ物としては、次のようなものがあります。
- ポリフェノール:カカオ、赤ワイン、ブルーベリー、コーヒー、緑茶など
- リコピン:トマト、スイカ、柿など
- イソフラボン:大豆、豆乳、豆腐など
- ペクチン:りんご、みかん、イチゴなど
- β-カロテン(ビタミンA):カボチャ、ほうれん草、ニンジンなどの緑黄色野菜
- ビタミンC:レモン、キウイフルーツ、グレープフルーツなどの果物
- ビタミンE:アボカド、ブロッコリー、ナッツ類など
- 亜鉛:牡蠣、レバーなど
- セレン:玉ねぎ、魚介類、大豆など
があります。
中でも、大豆など女性ホルモンのバランスを整える食べ物はおすすめです。
そのほかには、最近話題のスーパーフードの1つ「ゴジベリー」。
“ベリー”とついているので、ラズベリーやブルーベリーなどのフルーツを思い浮かべてしまいますが、実は、「クコの実」のことです。
クコの実は薬膳でも用いられますが、最近の研究で、クコの実の抽出エキスには、紅斑や肌が黒くなるのを押さえたり、日焼けした肌の回復を早める効果があることが分かっています。
また、活性酸素などによる酸化を押さえる効果があるとも考えられています。
つまり、日焼けしづらい、からだの内側からシミのできにくい体質をつくることが期待できる食品で、真皮のエイジングケアにとって強い味方といえますね。
ただし、食べ過ぎには要注意です。
クコの実には月経促進や早産・流産などを引き起こす可能性のあるベタインが含まれています。
また、血圧が下がり過ぎてしまう可能性もあります。
1日に摂取する量は、10~20粒ほどで十分です。
なお、真皮の若さを保つ食べ物については、次の記事を参考にしてください。
*ほうれい線を予防・改善する食べ物・飲料・栄養素と食べ方は?
*プルプル美肌になる!コラーゲンサプリメントの種類と選び方のコツ
*アーモンドを食べる習慣のある人は顔のシワが少ない?研究結果発表!
*アーモンドミルクの日は5月30日!人気秘密はスゴイ美肌効果
2)十分な睡眠で真皮のエイジングケア
言うまでもなく、お肌の細胞は夜に生まれ変わります。
ですから、真皮のためにも、夜12時までには寝るようにして、質のよい、十分な睡眠がとれるようにしましょう。
「質のよい睡眠」をとる工夫の方法をご紹介します。
◎レム睡眠の周期にあわせて目覚める
眠りは、レム睡眠とノンレム睡眠が約90分の周期で繰り返されます。
レム睡眠は、からだは深く眠っているけど脳が起きている状態。
ノンレム睡眠は脳が眠っている状態で、入眠直後に現れます。
起床時刻を、レム睡眠の周期に合わせると、すっきりと目覚めることができます。
◎毎日決まった時間に起きる癖をつける
◎昼間に適度な運動をする
◎眠くなってからベッドに入る
◎足元を冷やさないようにする
◎自分にあった枕を使用する
3)ストレスをためずに真皮のエイジングケア
イライラしたりで、ストレスが続くと、私たちのからだは活性酸素が増えてきます。
活性酸素が増えすぎると、前述したように、真皮の線維芽細胞にダメージを与えます。
結果、コラーゲンやエラスチンを低下させ、お肌のハリ・弾力がなくなっていきます。
そして、真皮がダメージを受け、シワやたるみを刻んでしまうことになってしまいます。
ストレスをためない方法は千差万別です。
スポーツをする、友人と話す、美味しいものを食べる、好きな香りに包まれる、部屋の明かりを少し暗くするなど、ご自分にあった気持ちの静め方で、真皮での活性酸素を増やしすぎないようにしましょう。
<参考記事>
*ストレスオフの女性がこの2年で増加!そのリラックス方法TOP10
*ストレスオフの秘訣は「音楽習慣」だった! 20代からシニアまで大調査
8.エイジレスな真皮のための再生医療
エイジレスな美肌の手段として、最近では再生医療が応用されています。
美容領域に応用される再生医療も、今ではさまざまな治療法が登場しています。
その中で、真皮線維芽細胞移植が肌再生治療として注目を集めています。
この治療法は、真皮の線維芽細胞の減少により起こる肌老化を改善させるため、自分自身の真皮線維芽細胞を増殖・培養し、それを直接肌に戻し細胞を補充するものです。
つまり、若い時の自分の線維芽細胞をラボでキープしておき、後年、それを肌に戻すことで、真皮の活力を取り戻す方法です。
自分の真皮の細胞を活用することで、年齢を重ねても今よりも若い肌を保つための手段として人気になっています。
比較的安全に、肌の若さを保つ再生医療として、美容皮膚科でも取り入れられつつあります。
9.まとめ
今回は、真皮の構造と役割について全体像をご説明しました。
また、真皮の衰える原因、衰えによる肌悩みやエイジングサインからそのエイジングケアまで幅広く取り上げました。
さらに、真皮を若く保つ生活や線維芽細胞の再生医療についてもご紹介しました。
いかがだったでしょうか?
最近のエイジングケア化粧品では、真皮のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸にアプローチする成分もありますが、それら化粧品がケアする部分は表皮が基本です。
真皮はエイジングケア化粧品だけでケアすることはできませんし、一度ダメージを受けると回復が難しいです。
つまり、基礎化粧品によるスキンケアやエイジングケアでは十分な対策はできません。
だから、真皮を守るにはまず紫外線対策。
そして、食べ物や睡眠でのエイジングケア。
まずは、健康やアンチエイジングを意識した生活習慣が基本です。
真皮を健やかに保つには、外側からだけでなく、からだの内側からもアンチエイジングを意識した取り組みを実践しましょう。
それがエイジレスな美肌をキープするコツです。
この記事「真皮とは?構造と役割を知ってエイジレスな美肌を!」が、エイジングケア世代の皆様のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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