2026年3月9日

ワインは心臓病のリスクを下げる?最新の研究結果を解説


「赤ワインは心臓にいい」
そんな話を聞いたことはありませんか?

実際、ワインと心臓病の関係は長年研究されており、近年のメタ解析では、適量のワイン摂取が冠動脈疾患や心血管死亡のリスク低下と関連する可能性が報告されています。

しかし一方で、飲酒量が増えるほど健康効果が高まるわけではなく、過剰摂取は逆に心血管リスクを高めることも指摘されています。

この記事では、最新の研究結果をもとに、

  • ワインは本当に心臓病予防になるのか
  • 赤ワインが注目される理由
  • 安全な飲み方の目安

を、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。

村上清美

この記事の執筆者

ナールスコム

店長村上清美

監修・編集責任者コメント
富本充昭

ナールスエイジングケアアカデミー・美容医療アカデミー 編集長 富本充昭

私自身も赤ワインが好きで、気づくとついもう1杯…ということがあります。適量なら食事がより楽しくなり、リラックス効果も感じられますが、飲み過ぎた翌日は睡眠の質が下がったり、むくみやだるさを感じることもあり、体調への影響を実感します。アルコールは少量でも体質によって反応が異なり、「昨日は大丈夫でも今日は強く出る」ということも珍しくありません。ワインを健康的に楽しむためには、量を決めてゆっくり飲むこと、空腹時を避けること、体調が優れない日は無理に飲まないことが大切です。健康のためというより、体と相談しながら長く楽しむという視点を持つことをおすすめします。

ワインは適量で心臓病リスクを下げる可能性がある

ワインと心臓病のメタ解析の論文

1)ワインのポリフェノールが健康に良い可能性あり

  • 複数研究のメタ解析では、適量のワイン摂取は冠動脈疾患・心血管疾患・心血管死亡リスク低下と関連
  • 理由はポリフェノール(レスベラトロール)の効果: 抗酸化作用、 血管機能改善
  • ただし飲み過ぎは心疾患・高血圧・肝疾患リスク増。目安は、女性:1日1杯程度、男性:1〜2杯

複数の研究を統合したメタ解析では、適量のワイン摂取は心臓病や心血管疾患のリスク低下と関連する可能性が報告されています。ただし、健康効果は摂取量に大きく左右され、飲み過ぎは逆にリスクを高める恐れもあるため注意が必要です。

2)メタ解析の結果(Nutrients研究)をわかりやすく解説

栄養学分野の国際誌 Nutrients に掲載されたメタ解析では、観察研究など22件の研究を統合し、ワイン摂取と心血管疾患の関連が検討されました。

その結果、

  • 冠動脈疾患(CHD)の発症リスク低下と関連
  • 心血管疾患(CVD)の発症リスク低下と関連
  • 心血管死亡リスク低下と関連

が示され、特に軽度〜中等度の摂取量で最も低いリスクとなる傾向が確認されています【1】。

背景としては、赤ワインに含まれるポリフェノール(レスベラトロールなど)の抗酸化作用や血管機能への影響が関与している可能性が指摘されています。

ただし、この研究は観察研究を中心とした解析であり、ワインを飲めば心臓病を防げると断定するものではありません。飲酒習慣、食生活、運動などの生活習慣全体が影響する点も重要です。

したがって、

  • すでに飲酒習慣がある人は適量を守ることが重要
  • 飲まない人が健康目的で新たに飲み始める必要はない

と考えられています。


なぜワインは心臓に良いとされるのか

ワインの健康への効果を語る医師

ワイン、特に赤ワインが心臓に良いとされる理由として、ポリフェノールを中心とした成分が血管や脂質代謝に影響する可能性が指摘されています。これらの成分は抗酸化作用や血管機能の維持に関与し、動脈硬化の進行を抑える方向に働くことが研究で示唆されています。

ただし、これらは主に疫学研究や基礎研究による知見であり、ワイン単独で心臓病を予防できると断定できるものではありません。適量を守ることが前提となります。

1)赤ワインのポリフェノール

赤ワインには、ブドウの皮や種に由来するポリフェノールが豊富に含まれています。これらの成分には次のような作用が報告されています。

①抗酸化作用

ポリフェノールは活性酸素を抑制し、血管内皮の酸化ストレスを軽減する可能性があります。酸化ストレスは動脈硬化や血管障害の一因とされており、その抑制は心血管リスク低下につながると考えられています。

②LDL酸化の抑制

LDLコレステロールは酸化されることで血管壁に蓄積しやすくなり、動脈硬化進行に関与する酸化ストレスや内皮機能に影響する可能性が示唆されます。
赤ワインのポリフェノールは、このLDLの酸化を抑える方向に働く可能性が示されています【2】。

血管拡張作用

ポリフェノールは血管内皮の一酸化窒素(NO)産生に関与し、血管を拡張しやすくする作用が示唆されています【3】。これにより血流改善や血圧への好影響が期待されると考えられています。

2)レスベラトロールの作用

赤ワインに含まれる代表的なポリフェノールの一つがレスベラトロールです。近年、この成分が心血管機能に与える影響について多くの研究が行われています。

①血管機能の改善

レスベラトロールは血管内皮の機能維持に関与し、炎症や酸化ストレスの軽減を通じて、血管の柔軟性を保つ方向に働く可能性が報告されています【4】。これにより動脈硬化の進行抑制に寄与する可能性があります。

HDLコレステロールの維持

一部の研究では、レスベラトロールが脂質代謝に影響し、善玉コレステロール(HDL)の維持や機能改善に関与する可能性が示唆されています。HDLは余分なコレステロールを回収する働きがあり、心血管リスク低下との関連が知られています。ただし、ヒト試験ではHDL(またはapoA-I)を明確に増やす効果は一貫せず、研究結果にはばらつきがあります【5】。


赤ワインが特に注目される理由

グラスに入った赤ワインで乾杯

ワインの中でも、心血管への影響が議論される際に特に取り上げられるのが赤ワインです。これは、製造方法の違いにより、白ワインよりもポリフェノールを多く含む傾向があるためとされています。ポリフェノールは抗酸化作用や血管機能への影響が示唆されており、心血管リスクとの関連が研究されています。

1)皮・種由来ポリフェノールが豊富

赤ワインの原料のブドウ

赤ワインは、ブドウを皮や種ごと発酵させる製法(醸し発酵)で作られます。この工程によって、皮や種に多く含まれるポリフェノールがワイン中に溶け出します。

代表的な成分には

  • レスベラトロール
  • アントシアニン
  • タンニン

などがあり、これらは抗酸化作用や血管内皮への影響を通じて、動脈硬化の進行を抑える方向に働く可能性が示唆されています。

そのため、同じワインでも赤ワインのほうがポリフェノール量は多い傾向があり、心臓や血管への作用が研究される際に注目されやすいと考えられています。

2)白ワインとの違い

グラスに入った白ワイン

白ワインは一般的に、ブドウの果汁のみを発酵させて作られ、皮や種を早い段階で取り除きます。そのため、赤ワインに比べるとポリフェノール量は少ない傾向があります。

この違いにより、

  • 赤ワイン:ポリフェノールが比較的豊富
  • 白ワイン:ポリフェノールは少なめだがアルコール量は同程度

という特徴があります。

ただし、心血管への影響はポリフェノールだけで決まるわけではなく、飲酒量や食習慣、生活習慣全体が関与します。したがって、赤ワインだけが特別に心臓病を防ぐと断定できるわけではありません。

重要なのは種類よりも、

  • 飲み過ぎない
  • 食事と合わせる
  • 継続的な生活習慣管理

といった点です。


心臓病予防につながるワインの飲み方

医学論文のイメージ

ワインが心血管リスク低下と関連する可能性があるとされるのは、あくまで適量を守った場合です。飲み方を誤ると、逆に高血圧や不整脈、心血管疾患のリスクを高める恐れもあります。健康への影響を考える場合は、「量」「飲むタイミング」「頻度」の3点が重要です。

1)適量の目安

一般的に、健康リスクが比較的低いとされる飲酒量の目安は次の通りです。

  • 女性:11杯程度(約120150ml
  • 男性:112杯程度(約120300ml

これは純アルコール量で約10〜20g程度(研究で低リスクと関連する範囲)に相当し、多くの疫学研究でリスクが最も低い範囲と関連づけられています。

ただし、

  • 体格
  • アルコール代謝能力
  • 持病や服薬

によって適量は異なります。この量を超えると心血管リスクが上昇する可能性があるため注意が必要です。

2) 食事と一緒に飲む

ワインは食事と一緒にゆっくり飲む習慣が望ましいとされています。

食事とともに摂取することで

  • アルコール吸収が緩やかになる
  • 血糖や脂質への影響が安定しやすい
  • 過剰摂取を防ぎやすい

といった利点が考えられます。

特に地中海式食事では、野菜・魚・オリーブオイルなどとともに適量のワインを摂る生活習慣が、心血管疾患リスクの低さと関連して報告されています。

3)毎日飲む必要はない

ワインの健康効果を期待して、無理に毎日飲む必要はありません

研究で示されているのは「飲酒習慣がある人の中で適量なら低リスク傾向がある」という関連であり、

  • 飲まない人が健康目的で飲み始める必要はない
  • 休肝日を設けることも重要
  • 飲酒よりも食事・運動・禁煙の影響が大きい

とされています。

心臓病予防の基本はあくまで生活習慣全体であり、ワインはその中の一要素に過ぎません。

執筆者コメント
村上清美

ナールスコム店長 村上清美

私は以前、酒造メーカーに勤務していたこともあり、お酒の魅力や楽しみ方には人一倍思い入れがあります。ワインも好きでよく飲みますが、美肌と健康を考えるようになってからは「量」と「飲むタイミング」を特に意識しています。飲み過ぎると睡眠の質が落ちたり、翌日の肌の乾燥やくすみを感じることがあるため、食事と一緒にゆっくり楽しみ、水分補給も忘れないようにしています。ワインは無理に飲むものではなく、体調や生活リズムに合わせて上手に取り入れることが大切です。美容のためにも、楽しみながら節度を守る飲み方をおすすめします。

【参考記事】
お酒の飲み方と成分を知って美肌に!エイジングケアの視点


注意|ワインを飲めば健康になるわけではない

ワインと心血管リスク低下の関連を示す研究はありますが、ワインを飲めば健康になるという意味ではありません。飲み方や体質によっては、むしろ健康リスクを高める可能性もあります。心臓病予防の基本は食事・運動・禁煙などの生活習慣全体であり、ワインはあくまで補助的要素に過ぎません。

1)飲み過ぎのリスク

アルコールを過剰に摂取すると、

  • 高血圧
  • 心房細動などの不整脈
  • 心筋症
  • 脂質異常・肥満
  • 肝疾患

などのリスクが高まることが知られています。特に飲酒量が増えるほど心血管疾患リスクが上昇する「Jカーブ」の右側に入る可能性があるため、適量を超えないことが重要です。

2)持病・薬との相互作用

ワインを含むアルコールは、持病や薬との関係にも注意が必要です。

例えば

  • 高血圧治療薬:血圧低下が強まり過ぎる可能性
  • 糖尿病治療薬:低血糖を起こしやすくなる場合
  • 抗凝固薬:出血リスクへの影響
  • 睡眠薬・抗不安薬:作用が強まり眠気や転倒リスク増

などが挙げられます。

心疾患や生活習慣病の治療中の方は、飲酒の可否や量を主治医に確認することが望ましいです。

3)非飲酒者は無理に飲まない

健康効果を期待して、これまで飲酒習慣のない人が新たにワインを飲み始める必要はありません。

多くの研究は「飲む人の中で適量なら低リスク傾向がある」という関連を示すものであり、飲酒を推奨するものではありません。

心臓病予防のためには、

  • バランスの良い食事
  • 適度な運動
  • 体重管理
  • 禁煙

の方が影響は大きいとされています。

【参考記事】
科学的根拠あり。お酒を飲むと、ラーメンや甘い物が食べたくなる理由
お酒の飲み過ぎは、腸内環境にも美肌にも大ダメージ!


ワインの健康や病気予防に関するよくある質問

3種類のワイン

Q1. 赤ワインは毎日飲んだ方が心臓に良いですか?

必ずしも毎日飲む必要はありません。研究で示されているのは「適量なら低リスク傾向がある」という関連であり、飲酒を推奨するものではありません。飲む場合は量を守り、休肝日を設けることも重要です。

Q2. 白ワインでも心臓病予防になりますか?

白ワインにもアルコール由来の影響はありますが、ポリフェノール量は一般的に赤ワインの方が多い傾向があります。ただし、心血管リスクはワインの種類だけで決まるわけではなく、飲酒量や生活習慣全体が重要です。

Q3. ワインの適量はどれくらいですか?

一般的な目安は、女性は1日1杯、男性は1〜2杯(1杯約120〜150ml)です。ただし体格や体質、持病、服薬によって適量は異なるため、個別に調整が必要です。

Q4. アルコールが弱い人は無理に飲んでも大丈夫ですか?

無理に飲む必要はありません。アルコール耐性が低い人では、少量でも健康リスクが高まる可能性があります。心臓病予防は食事・運動・禁煙などの生活習慣改善の方が重要です。

Q5. ノンアルコールワインでも効果はありますか?

ノンアルコールワインにもポリフェノールは含まれますが、アルコールによる影響はありません。心血管への影響については研究が限られており、健康効果は生活習慣全体で考えることが大切です。


まとめ

ワイン、とくに赤ワインは、適量であれば冠動脈疾患や心血管疾患のリスク低下と関連する可能性が研究で示されています。背景には、ポリフェノールやレスベラトロールによる抗酸化作用や血管機能への影響が関与していると考えられています。

しかし、健康効果はあくまで軽度〜中等度の摂取量に限られる可能性があり、飲み過ぎは高血圧や不整脈、肝疾患などのリスク増加につながる恐れがあります。また、持病や服薬によっては飲酒を控えるべき場合もあります。

そのため、心臓病予防の観点では、

  • すでに飲酒習慣がある人は適量を守る
  • 食事と一緒にゆっくり飲む
  • 休肝日を設ける
  • 飲まない人は無理に始めない

といった点が重要です。

心臓病予防の基本は、バランスのよい食事、適度な運動、体重管理、禁煙などの生活習慣全体です。ワインはそれらを補助する一要素として、無理のない範囲で取り入れることが大切といえるでしょう。


参照論文

【1】Lucerón-Lucas-Torres M, Saz-Lara A, Díez-Fernández A, Martínez-García I, Martínez-Vizcaíno V, Cavero-Redondo I, Álvarez-Bueno C.Association between Wine Consumption with Cardiovascular Disease and Cardiovascular Mortality: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2023;15(12):2785.

PMID: 37375690 PMCID: PMC10303697 DOI: 10.3390/nu15122785

日本語要旨:ワイン摂取と冠動脈疾患(CHD)、心血管疾患(CVD)、心血管死亡の関連を検討したシステマティックレビュー/メタ解析。25研究を対象に評価し、そのうち22研究を統合解析した。ワイン摂取はCHD(RR0.76)、CVD(RR0.83)、心血管死亡(RR0.73)のリスク低下と逆相関を示した。一方で、年齢や薬剤、基礎疾患などにより過量摂取は有害となり得るため慎重な解釈が必要となる。

【2】Nigdikar SV, Williams NR, Griffin BA, Howard AN. Consumption of red wine polyphenols reduces the susceptibility of low-density lipoproteins to oxidation in vivo. Am J Clin Nutr. 1998;68(2):258-265.

PMID: 9701181  DOI: 10.1093/ajcn/68.2.258

日本語要旨:健常男性に赤ワイン(375mL/日)または同等量の赤ワインポリフェノールなどを2週間摂取させ、LDLの酸化されやすさを評価。赤ワイン/ポリフェノール摂取でLDL酸化の指標が改善し、酸化抵抗性(ラグタイム延長)が示された。

【3】Leikert JF, Räthel TR, Wohlfart P, Cheynier V, Vollmar AM, Dirsch VM. Red wine polyphenols enhance endothelial nitric oxide synthase expression and subsequent nitric oxide release from endothelial cells. Circulation. 2002;106(13):1614-1617.

PMID: 12270851 DOI: 10.1161/01.cir.0000034445.31543.43

日本語要旨:赤ワイン由来ポリフェノール抽出物をヒト血管内皮細胞に作用させると、eNOS発現が増加しNO放出が上昇。内皮機能低下や動脈硬化の進展に対し、ポリフェノールがNO経路を介して保護的に働く可能性が示された。

【4】Marques BCAA, Trindade M, Aquino JCF, Cunha AR, Gismondi RO, Neves MF, Oigman W. Beneficial effects of acute trans-resveratrol supplementation in treated hypertensive patients with endothelial dysfunction. Clin Exp Hypertens. 2018;40(3):218-223.

PMID: 29431520 DOI: 10.1080/10641963.2017.1288741

日本語要旨:高血圧治療中で内皮機能低下を有する患者にトランスレスベラトロール300mgを単回投与する二重盲検クロスオーバー試験を実施。投与後、上腕動脈FMDが有意に改善し、レスベラトロールが内皮機能改善に寄与する可能性が示された。

【5】van der Made SM, Plat J, Mensink RP. Resveratrol does not influence metabolic risk markers related to cardiovascular health in overweight and slightly obese subjects: a randomized, placebo-controlled crossover trial. PLoS One. 2015;10(3):e0118393. doi:10.1371/journal.pone.0118393.

日本語要旨: 過体重〜軽度肥満者にレスベラトロール150mg/日を4週間投与するランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験を実施。HDLコレステロールやapoA-Iなどの心血管リスク指標に有意な変化は認められず、代謝改善効果は限定的である可能性が示された。

 

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