2026年2月19日

1日8,000〜9,000歩で十分?ウォーキングと健康の関係を研究で解説


こんにちは!
エイジングケア化粧品「ナールス公式ブログ」です。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、
みなさまの美肌や健康づくりのご参考になるような情報があれば、ご紹介しています。

<本記事の監修・編集責任者コメント>
富本さんの画像まる
実は私は2020年に高血圧を発症したことをきっかけに、毎日平均で10,000歩以上を歩く習慣を始めました。2026年2月現在で67カ月連続で月平均10,000歩以上のウォーキングを継続しています。
そのおかげで体重も維持できています。また、最低限の薬物治療を継続することで血圧も安定し、体調も良好を保てています。
今回の研究結果と照らし合わせると、高血圧については8,000〜9,000歩で効果が頭打ちになるとのことで、12,000歩は「やりすぎ」かもしれませんが(笑)、それ以外の肥満や気分の向上には多く歩くほど良い効果が続くようです。
ウォーキングは、特別な道具も費用も必要なく、今すぐ始められます。エイジングケアにも、生活習慣病の予防にも、コスパ最高の習慣だと実感しています。
ぜひ皆さんも、まず「今日の歩数を確認する」ところから始めてみてください!

ウォーキング「1日1万歩」の根拠はある?

ウォーキングをする男性
「健康のためには1日1万歩歩くべき」という言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。スマートフォンやスマートウォッチで歩数を確認する習慣が広まった今、この「1万歩」という数字はひとつの健康目標として広く定着しています。
しかし実際のところ、何歩歩けば健康に良いのでしょうか?
また、歩くことで具体的にどのような病気のリスクを下げることができるのでしょうか?

科学雑誌「Nature Medicine」に掲載された研究が、この疑問に答える興味深いデータを示しました。米国の6,000人以上の中高年を最長7年間にわたって追跡したこの研究からは、「1万歩以下でも十分に健康効果が得られる可能性がある」こと、そして「歩数と特定の病気の関係」が明らかになっています。
毎日の歩数を意識するだけで、肥満・高血圧・糖尿病・うつ病などのリスクを下げられるとしたら、今日からでも取り組みたいと思いませんか? 最新のエビデンスとともに、ウォーキングの健康効果をわかりやすく解説します。


研究の概要:Nature Medicineに掲載されたエビデンス

ウォーキングのエビデンス
今回ご紹介する研究は、米国国立衛生研究所(NIH)の「All of Us Research Program」のデータをもとに行われたものです。ヴァンダービルト大学医療センターのMaster H. 博士らのチームが2022年11月、科学雑誌「Nature Medicine」に発表しました(PubMed PMID: 36216933)。

研究概要研究名:All of Us Research Program(米国NIH主導)
研究名:All of Us Research Program(米国NIH主導)
対象:6,042人の中高年米国人(中央値年齢:56.7歳)
追跡期間:中央値4年(最長7年)
計測方法:参加者自身のFitbitデバイスによる歩数計測+電子カルテとの連携
モニタリング総計:約590万人・日

※ 本研究の対象は米国の中高年が中心であり、対象者の73%が女性、84%が白人です。日本人にそのまま当てはまるとは限りませんが、参考となる科学的根拠として紹介します。


研究の主な結果:何歩歩けばどんな効果がある?

ウォーキングの研究を発表する医師
Alt ウォーキングの研究を発表する医師
参加者の1日の歩数の中央値は約7,731歩でした。研究の結果、歩数と病気の関係について、以下のような重要な知見が明らかになりました。

1) 8,000〜9,000歩以上でリスクが低下する疾患

1日の歩数が8,000〜9,000歩以上の人は、以下の疾患の発症リスクが有意に低いことが示されました。

  • 肥満
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 胃食道逆流症(GERD)
  • うつ病(大うつ病性障害)
  • 糖尿病
  • 高血圧

2)疾患ごとの歩数と効果の関係

疾患によって、歩数と効果の関係は異なります。下表をご参照ください。

疾患・症状 目安歩数 効果の特徴
肥満 8,000歩以上 歩数が増えるほど正比例してリスク低下
睡眠時無呼吸症候群 8,000歩以上 歩数が増えるほど正比例してリスク低下
胃食道逆流症(GERD) 8,000歩以上 歩数が増えるほど正比例してリスク低下
うつ病 8,000歩以上 歩数が増えるほど正比例してリスク低下
糖尿病 8,000〜9,000歩 それ以上歩いてもリスクは変わらない
高血圧 8,000〜9,000歩 それ以上歩いてもリスクは変わらない

3) 上位25%と下位25%の比較から見えること

歩数の多い上位25%(約1万1,000歩/日)と下位25%(約6,000歩/日)を比較すると、上位25%の人は下位25%の人と比べ、

  • 肥満のリスク:約4割(40%超)少ない
  • 胃食道逆流症のリスク:約3割少ない

歩数が多いほど健康状態が全体的に良好であることが示されました。

4)過体重の方への朗報:歩数を増やした場合の効果

過体重(BMI 25〜29.9 kg/m²)の人が毎日の歩数を6,000歩から1万1,000歩に増やした場合、肥満になる確率が約64%低下する可能性が示されました。まだ肥満ではない段階で歩数を増やすことが、将来の肥満予防に大きな効果をもたらすと考えられます。

5) 糖尿病・高血圧には「効果の上限」がある

肥満や睡眠時無呼吸症候群・うつ病では、歩数が増えるほど直線的にリスクが低下しますが、糖尿病と高血圧については、1日8,000〜9,000歩を超えてもそれ以上のリスク低下は見られませんでした。
つまり、疾患によって「歩けば歩くほど良い」ものと、「一定の歩数を超えると効果に上限がある」ものがあることがわかります。


なぜウォーキングは健康に良いのか?:有酸素運動の仕組み

ウォーキングのメリットを説明する医師
ウォーキングは有酸素運動の代表格です。体内に酸素を取り込みながら脂肪をエネルギーとして燃焼させるため、継続的に行うことで多くの健康効果が得られます。

1) 体脂肪の燃焼・肥満の改善

有酸素運動は、体脂肪をエネルギー源として利用します。そのため、ウォーキングを続けることで体脂肪が徐々に減少し、肥満の解消・予防につながります。また、血中の中性脂肪を分解する酵素を活性化させることも知られています。

2) 血糖値・インスリン感受性の改善

ウォーキングなどの有酸素運動によって筋肉が糖(ブドウ糖)を積極的に消費するため、血糖値が下がります。また、インスリンの効きやすい身体になる(インスリン感受性の向上)効果もあり、糖尿病の予防・改善に役立ちます。

3) 血圧を下げるメカニズム

ウォーキングによって血管の柔軟性が高まり、また血圧を下げる物質(タウリンやプロスタグランジンE)が体内で増加することが知られています。メタ解析では、中等度の有酸素運動を週3回以上行うと、収縮期血圧が平均5〜7 mmHg低下することが示されています。

4)メンタルヘルスへの効果

ウォーキングを一定時間続けると、気持ちをリラックスさせる神経伝達物質「セロトニン」が分泌されます。また、気分を高揚させる「エンドルフィン」の分泌も促されます。今回の研究でもうつ病のリスク低下が示されており、精神的な健康への効果が科学的に裏付けられています。

5)肌への好影響

血行促進によって肌への栄養・酸素の供給が高まり、肌のターンオーバーが促進・正常化します。また、ストレス軽減によってコルチゾール(ストレスホルモン)の過剰分泌が抑えられ、肌荒れの予防にもつながります。エイジングケアの視点からも、ウォーキングは「外から塗る」だけでなく「内側から整える」アプローチとして有効です。


実践ポイント:今日から始めるウォーキング習慣

ウォーキングを習慣にする男女

スマートフォンのヘルスケアアプリや、スマートウォッチ・フィットネストラッカー(FitbitなどのウェアラブルデバイスやApple Watch等)を活用して、まず自分が1日に何歩歩いているかを確認しましょう。現状を「見える化」することが、意識づけの第一歩です。

1)目標は「まず8,000〜9,000歩」

今回の研究では、1万歩よりやや少ない8,000〜9,000歩でも多くの疾患リスクを十分に下げられることがわかりました。「1万歩は多すぎる」と感じていた方も、まずはこの目標から始めてみましょう。

2)効果的な歩き方のコツ

  • 背筋を伸ばし、やや大股で歩く
  • かかとから着地し、つま先で蹴り出す意識を持つ
  • 肘を軽く曲げ、前後にリズムよく腕を振る
  • 「少しきつい」と感じる程度のペースが有酸素運動として最適
  • 歩く前後に軽いストレッチを忘れずに

3)継続するための工夫

  • 通勤・買い物・外出の際に、1駅分歩く・遠回りするなど日常に取り入れる
  • エレベーターより階段を選ぶ
  • ウォーキングアプリや歩数計で記録をつけ、達成感を味わう
  • お気に入りの音楽やポッドキャストを聴きながら楽しく続ける
  • 家族や友人と一緒に歩くと継続しやすい

<参考記事>

「日本姿勢と歩き方協会」の10周年記念パーティーをレポート
「 1日30秒ラクしてやせる! ダイエットウォーキング」の内容と活用法
エイジングケアに良い姿勢とウォーキング|高岡よしみさん


まとめ:「歩く」は最もコスパの高い健康投資

今回ご紹介したNature Medicine掲載の研究は、ウォーキングと健康の関係を6,000人以上・最長7年間という大規模・長期のデータで明らかにした、信頼性の高いエビデンスです。
まとめると、以下のポイントが重要です。

  • 1日8,000〜9,000歩以上で、肥満・糖尿病・高血圧・うつ病など多くの生活習慣病リスクが有意に低下する
  • 肥満・うつ病・睡眠時無呼吸症候群・胃食道逆流症は、歩数が多いほど直線的にリスクが下がる
  • 糖尿病・高血圧は8,000〜9,000歩が効果の上限で、それ以上歩いてもリスクはほぼ変わらない
  • 過体重の方が歩数を増やすことで、将来の肥満リスクを64%下げられる可能性がある

ウォーキングは、特別な器具も会費もいらない、誰でも今すぐ始められる有酸素運動です。お肌の血行促進・ストレス軽減という観点から、エイジングケアにも深く関わっています。「1万歩」という目標に縛られず、まず8,000〜9,000歩を目指すことから始めてみましょう。
継続することが最大のポイントです。無理のない範囲で毎日続けることが、長期的な健康の維持・増進につながります。


<参照論文>

Master H, Annis J, Huang S, et al. Association of step counts over time with the risk of chronic disease in the All of Us Research Program. Nature Medicine. 2022 Nov;28(11):2301-2308.
PMID: 36216933. DOI 10.1038/s41591-022-02012-w. PubMed
本記事はナールス公式ブログの記事であり、医学論文の内容をわかりやすく解説したものです。個別の医療・健康に関するご相談は、かかりつけの医師・医療機関にご相談ください。

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