2026年3月6日

なぜ秋は乾燥する?保湿の3大因子とCE・タイトジャンクションの基礎


秋になると、「夏は平気だったのに急に肌が乾く」「化粧ノリが悪くなった」と感じる方が増えます。
これは単なる水分不足ではなく、角層の保湿構造や肌バリアの変化が関係しています。

肌のうるおいを守るために重要なのが、NMF(天然保湿因子)・細胞間脂質・皮脂膜からなる「保湿の3大因子」です。

さらに近年は、角層の内側を支えるタイトジャンクションや、角質細胞の外側を覆うコーニファイドエンヴェロープ(CE)といった構造も、乾燥やバリア機能に深く関わることが分かってきました。

この記事では、秋の乾燥肌を防ぐために知っておきたい「保湿の3大因子」と肌バリアの仕組みを整理し、スキンケアで何を意識すべきかをわかりやすく解説します。

村上清美

この記事の執筆者

ナールスコム

店長村上清美

監修・編集責任者コメント
富本充昭

ナールスエイジングケアアカデミー・美容医療アカデミー 編集長 富本充昭

秋の乾燥肌は単なる水分不足ではなく、角層の保湿構造とバリア機能の変化が重なって起こります。本記事では、NMF・細胞間脂質・皮脂膜という保湿の3大因子に加え、タイトジャンクションやコーニファイドエンヴェロープといった角層構造にも触れ、肌のうるおいがどのように守られているかを体系的に解説しています。乾燥対策では、単に保湿成分を補うだけでなく、角層全体を整える視点が重要です。季節の変わり目から早めにスキンケアを見直し、肌本来のバリア機能を保つことが、安定した肌状態を維持するための基本といえるでしょう。

保湿の基本|「保湿の3大因子」とは

保湿の3大因子を説明するコスメコンシェルジュ

肌のうるおいは、単に水分量だけで決まるわけではありません。角層では、水分を抱える・逃がさない・外から守るという3つの働きがバランスよく保たれることで、バリア機能が維持され、しっとりした肌状態が維持されています。

この仕組みを支えているのが、いわゆる「保湿の3大因子」です。
それぞれ役割が異なり、どれか一つでも不足すると乾燥や肌荒れが起こりやすくなります。

1)NMF(天然保湿因子)|角質細胞の中で水分を抱える

天然保湿因子とフィラグリン

NMF(Natural Moisturizing Factor:天然保湿因子)は、角質細胞の内部に存在し、水分を引き寄せて保持する働きを持ちます。主成分はアミノ酸や尿素、PCAなどで、汗や皮脂とは別の「肌本来の保湿成分」です。

NMFの多くは、表皮の顆粒層にあるケラトヒアリン顆粒に含まれるタンパク質フィラグリンが分解されることで生じます。フィラグリンは角質細胞の形成に関わる重要なタンパク質で、分解される過程でアミノ酸などのNMF成分となり、角質細胞内の水分保持に寄与します。

そのため、フィラグリンの産生や分解のバランスが乱れるとNMF量が低下し、角質細胞は水分を保ちにくくなります。洗顔のしすぎやターンオーバーの乱れ、紫外線ダメージなどもNMF減少の一因となり、肌のゴワつきやカサつき、小じわにつながることがあります。

つまりNMFは、フィラグリン由来の成分を中心に、角質細胞内で水分をしっかり抱え込む“内側の保湿”の要といえる存在です。

2)角質細胞間脂質|水分蒸散を防ぐラメラ構造

角質層のラメラ構造

角質細胞間脂質は、角質細胞と角質細胞の間を埋めるラメラ構造を形成する脂質で、主にセラミド・コレステロール・脂肪酸などから構成されています。ラメラ構造によって、水分が外へ逃げるのを防ぐバリアの役割を果たします。

乾燥肌や敏感肌では、この細胞間脂質、とくにセラミド量が低下していることが多く、水分が蒸発しやすい状態になっています。

細胞間脂質は、水分を閉じ込める“隙間の保湿”とバリア機能の要といえる存在です。

3)皮脂膜|肌表面を守る天然の保護膜

皮脂膜を示すイラスト

皮脂膜は、皮脂と汗が混ざり合ってできる、肌表面を覆う薄い膜です。外部刺激や乾燥から肌を守り、水分蒸散を防ぐ最前線のバリアとして働きます。

皮脂皮脂腺から分泌されますが、加齢とともに減ります。そのため、皮脂膜も加齢で少なくなります。また、洗浄力の強いクレンジングや洗顔を繰り返すと皮脂膜が必要以上に取り除かれ、肌表面の保護機能が低下します。その結果、角層の水分が蒸発しやすくなり、乾燥が進みやすくなります。

皮脂膜は、肌の一番外側でうるおいを守る“表面の保湿”を担っています。

【参考記事】
お肌の保湿とは?本当にわかるスキンケアの基本と保湿成分
セラミドは肌の保湿力の鍵!その秘密と化粧品の選び方


なぜ秋は乾燥肌になりやすいのか

秋の風景

秋になると、急に肌のカサつきやつっぱりを感じる方が増えます。これは気のせいではなく、季節特有の環境変化と、夏のダメージの影響が重なることで、角層の保湿機能が低下しやすくなるためです。

ここでは、秋に乾燥肌が進みやすい主な理由を整理してみましょう。

1)湿度低下と気温差で水分が逃げやすくなる

秋は夏に比べて空気中の湿度が低下し、肌から水分が蒸発しやすくなります。さらに朝晩と日中の気温差が大きくなることで、皮脂分泌のバランスも乱れやすくなります。

湿度が下がると、角層の水分を保持しているNMFや細胞間脂質が十分に働いていても、水分蒸散量が増え、乾燥を感じやすくなります。つまり秋は、肌の保湿構造にかかる負担が自然と大きくなる季節なのです。

2)夏の紫外線ダメージが秋に表面化する

夏の強い紫外線は、角層の細胞や脂質にダメージを与え、NMFの減少や細胞間脂質の乱れを引き起こすことがあります。ただし、この影響はすぐに現れるとは限らず、ターンオーバーの過程で時間差をもって表面化します。

そのため、夏の終わりから秋にかけて「急に乾燥しやすくなった」「肌が敏感になった」と感じることが多くなります。秋の乾燥は、季節要因だけでなく夏の蓄積ダメージの結果でもあります。

3)ターンオーバーの乱れでバリア機能が低下する

気温や湿度の変化、生活リズムの変化、夏の疲れなどが重なると、肌のターンオーバーが乱れやすくなります。ターンオーバーが乱れると、角質細胞が未熟なまま表面に現れ、NMFが少なく、細胞間脂質の整っていない角層になりがちです。

この状態では、水分を保持する力も外部刺激を防ぐ力も弱まり、乾燥や肌荒れが起こりやすくなります。

【参考記事】
秋に多い肌トラブル・肌悩みの種類と解決法


さらに重要な「角層バリア構造」

肌のうるおいを守るには、NMF・細胞間脂質・皮脂膜といった「保湿の3大因子」だけでなく、角層そのものの構造が健全であることも重要です。

近年の皮膚科学では、角層のバリア機能を支える要素として、タイトジャンクションやコーニファイドエンヴェロープ(CE)といった微細構造の役割にも注目が集まっています。これらは普段のスキンケアでは意識されにくいものの、乾燥や敏感肌に深く関わっています。

1)タイトジャンクションとは|水分と異物の通過を制御する結合構造

タイトジャンクション

タイトジャンクションは、表皮の顆粒層に存在する細胞同士の密着構造で、水分や異物の通過をコントロールする「関門」のような役割を持っています。

この構造がしっかりしていると、体内からの水分漏出を防ぎ、外部刺激の侵入も抑えられます。一方で、紫外線ダメージや炎症、乾燥などによってタイトジャンクションの機能が低下すると、角層のバリアが弱まり、水分が逃げやすく、刺激を受けやすい状態になります。

つまりタイトジャンクションは、角層のさらに内側でバリアを支える“見えない防御ライン”といえます。

2)コーニファイドエンヴェロープ(CE)とは|角質細胞を支える外殻構造

コーニファイドエンヴェロープ

コーニファイドエンヴェロープ(Cornified Envelope:CE)は、角質細胞の外側を覆う硬いタンパク質と脂質の層で、角層の物理的な強度と保護機能を担っています。

CEは、角質細胞が成熟する過程で形成される“細胞の外殻”のような存在で、この構造がしっかりしていることで、角層は規則正しく積み重なり、外部刺激に強い状態を保てます。

CEの形成が不十分だったり乱れたりすると、角層の構造がもろくなり、水分保持力の低下や乾燥、刺激感の増加につながることがあります。

CEは、角質細胞そのものの土台を強くする“構造的なバリア”といえるでしょう。

3)「保湿の3大因子」と角層構造はセットで働く

肌のうるおいは、単独の成分ではなく、多層構造として守られています。

  • CE:角質細胞の外殻(構造の土台)
  • タイトジャンクション:内側の密着結合(通過制御)
  • NMF:細胞内部で水分保持
  • 細胞間脂質:細胞の隙間を埋め蒸散防止
  • 皮脂膜:最外層で保護

このように、肌は内側から外側まで複数の仕組みが連携してバリア機能を保っています。どれか一つだけを補えば良いのではなく、構造全体を整える視点が乾燥対策には重要です。

では、こうした保湿因子と角層構造を踏まえ、秋の乾燥肌を防ぐために具体的にどんなスキンケアを意識すればよいのでしょうか。次は、日常で実践しやすいポイントを整理します。

秋の乾燥肌を防ぐスキンケアのポイント(実践編)

秋のスキンケアを説明するコスメコンシェルジュ

秋の乾燥対策では、「水分を与える」だけでなく、角層構造を守りながら保湿の3大因子を補うことが重要です。次のポイントを意識しましょう。

1)セラミド中心の保湿を選ぶ

細胞間脂質の主成分であるセラミド配合の化粧水やクリームは、水分蒸散を防ぎバリア機能を支えます。

2)洗いすぎを避け皮脂膜を守る

強い洗浄は皮脂膜やNMFを減らします。秋は洗顔料を見直し、摩擦を減らすことも大切です。

3)水分+油分+保水成分をバランスよく

化粧水だけで終わらせず、乳液やクリームでふたをして保湿構造を補いましょう。

4)乾燥を感じる前から保湿強化

秋は早めの対策が重要です。カサついてからではなく、季節の変わり目から保湿を強化すると肌状態を保ちやすくなります。

動画で視る!秋の乾燥肌を防ぐ保湿の3大因子

【参考記事】
秋(9月・10月・11月)に気になる乾燥肌!予防・改善の対策とは?
秋のスキンケア&エイジングケア

執筆者コメント
村上清美

ナールスコム店長 村上清美

コルネオセラピーとは、角質層を健やかに保ち、バリア機能を整えることで肌本来の力を引き出すスキンケア理論です。これは、水分を抱えるNMF、隙間を満たす細胞間脂質、表面を守る皮脂膜という「保湿の3大因子」を守るケアそのものといえます。これらが整うことで角層は安定し、乾燥や外部刺激に負けない健やかな肌環境が維持されます。ナールスネオは、ヒト型セラミドやアミノ酸、スクワランなどをバランスよく配合し、角層の保湿構造とバリア機能を支える設計の美容液です。日々のスキンケアで保湿の3大因子を守るコルネオセラピーの考え方を取り入れたい方にとって、非常に相性の良いアイテムだと感じています。

ナールスネオ

保湿の3大因子を守るエイジングケア美容液「ナールスネオ」


美容家の秋の肌対策

1)飯塚美香さんの記事

飯塚美香さん

飯塚美香さんおすすめ!秋に目立つ顔のくすみ改善の対策」や「秋の肌荒れ!原因と予防や改善の対策を飯塚美香さんがご紹介」では、増えやすい肌荒れやくすみの原因を、紫外線ダメージの蓄積や乾燥、生活習慣の影響など多角的に整理し、肌状態を整えるための具体的な対策が紹介されています。特に、保湿を中心としたスキンケアの見直しに加え、睡眠や食事など日常習慣の重要性にも触れ、無理なく続けられる実践的なケア方法がわかりやすく解説されています。季節の変わり目でも安定した肌を保つための基本を押さえられる内容です。

2)遠藤幸子さんの記事

遠藤幸子さん

秋にお肌がゆらぐ。原因と対策のコツ|遠藤幸子さま寄稿」や「秋に見直したい保湿ケアのポイント3選|遠藤幸子さま寄稿」では、秋に起こりやすい肌のゆらぎや乾燥に着目し、その原因を環境変化やバリア機能の低下の視点から丁寧に解説しています。特に、保湿ケアの見直しを軸に、化粧品選びやスキンケアの順序、肌状態に合わせた対処法など、実践しやすいポイントが具体的にまとめられています。難しい理論に偏らず、日常のケアにすぐ取り入れられるアドバイスが多く、季節の変わり目に肌コンディションを整えたい方に役立つ内容となっています。

お二人の記事は、ともに秋に保湿の3大因子を大切にすることにつながります。


保湿因子やバリア機能に関するよくある質問

Q1. 保湿の3大因子の中で一番重要なのはどれですか?

どれか一つだけが重要というわけではありません。NMFは水分保持、細胞間脂質は蒸散防止、皮脂膜は表面保護を担い、互いに連携して働きます。いずれかが不足すると乾燥しやすくなるため、バランスよく整えることが大切です。

Q2. 秋になると急に乾燥するのはなぜですか?

湿度の低下に加え、夏の紫外線ダメージの影響が秋に表れやすいためです。角層のNMFや細胞間脂質が乱れ、バリア機能が弱まることで水分が逃げやすくなります。

Q3. セラミド配合化粧品は乾燥肌に本当に必要ですか?

セラミドは細胞間脂質の主成分で、水分蒸散を防ぐ重要な役割を担います。乾燥肌や敏感肌では不足していることが多く、補うことで角層のバリア機能をサポートできます。

Q4. タイトジャンクションやCEはスキンケアで改善できますか?

直接増やすことは難しいですが、紫外線対策や適切な保湿、摩擦を避けるケアによって角層環境が整い、結果としてバリア機能を保ちやすくなります。

Q5. 保湿は朝と夜どちらが重要ですか?

どちらも大切ですが、夜は睡眠中に水分蒸散が進みやすいため、特にしっかり保湿することが重要です。朝も乾燥しやすい季節は軽めでも保湿を行うと日中の肌状態が安定します。


まとめ|秋の乾燥対策は「保湿構造」を理解することから

秋の乾燥肌は、単なる水分不足ではなく、NMF・細胞間脂質・皮脂膜からなる保湿の3大因子に加え、タイトジャンクションやコーニファイドエンヴェロープといった角層構造の変化が重なって起こります。

肌のうるおいは、内側で水分を抱える仕組み、隙間から逃がさない仕組み、表面で守る仕組みが連携して初めて保たれます。どれか一つだけを補うのではなく、角層全体を整える視点での保湿ケアが重要です。

特に秋は、夏の紫外線ダメージの影響が表れやすく、湿度低下も始まる季節です。乾燥を感じてから対処するのではなく、季節の変わり目から保湿を見直すことで、冬に向けて安定した肌状態を保ちやすくなります。

日々のスキンケアでは、肌の構造を理解しながら、自分の肌状態に合った保湿を丁寧に続けていくことが、健やかなうるおい肌への近道です。

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