ナールスでは、2022年2月24日(木)、皮膚科医河本英恵先生を講師に迎え、
「シミ対策は間違うと悪化も!皮膚科医直伝の見分け方と動画で見る美容医療」と題したセミナーを開催。
そこで、視聴者様から寄せられた質問に河本先生にご回答いただきました。
ぜひ、シミの対策にお役立てください。
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆日本化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
1.シミのセミナーの内容は?
ナールスでは、皮膚科医ほか各界の専門家を迎えて、美肌や健康などに役立つオンラインセミナーを定期的に開催しています。
2022年度の第1回目のオンラインセミナーは、講師に皮膚科医の河本英恵先生をお迎えして、2月24日(木)午後7時~午後8時まで、「シミ対策は間違うと悪化も!皮膚科医直伝の見分け方と動画で見る美容医療」をテーマに実施しました。
今回のオンラインセミナーでは、皮膚科医の立場から、エイジングケア世代に多いシミの見分け方や症状、原因、予防法、治療法などを一般の方向けにわかりやすく解説していただきました。
特に治療法では、いくつかの種類のシミ治療について、河本先生による治療シーンを動画でお見せしながら、効果や安全性、ダウンタイム、治療後のスキンケアについて解説しました。
セミナー開催に先立ち、ご視聴者様からの質問を募集したところ、多数のご質問をお寄せいただきました。
セミナーでは時間の関係上、すべてを回答することができませんでしたので、ナールスエイジングケアアカデミーの誌面で回答し、読者の皆様にもご紹介いたします。
<シミの予防対策なら、まずは紫外線対策から>
エイジングケア世代のためのシミ予防のための日焼け止め
*ナールスゲン配合日焼け止め&UV化粧下地「ナールス ヴェール」
しみ治療のメニューが豊富で全国にある品川美容外科&湘南美容クリニック!
*しみの原因と対策の全てがわかる!|エイジングケア化粧品のナールス
*オンラインで美容内服薬を購入できる|nahls BIOPORT+
2.ナールスオンラインセミナー視聴者からの質問と回答
ここからは、本セミナーの視聴者様からいただいたご質問に対する回答を掲載いたします。
1)まだシミとしてあらわれていないシミ予備軍を効果的に減らしていくために、どのような対策をしたらよいか教えて頂きたいです。
<回答>
まだシミとしてあらわれていないシミ予備軍は、「隠れシミ」と呼ぶことがあります。
これは、肉眼では見つけることができないので、皮膚科や美容クリニックなどで特殊なカメラで確認します。
隠れシミの原因は、紫外線ダメージに加えて、間違ったスキンケア、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどです。
隠れシミの対策としては、日々の「紫外線対策」で日焼け止めを使うほか、適切な「洗顔やクレンジング」、「保湿」のスキンケアの3本柱を正しく行うことが基本です。
特に紫外線対策は、年中、手を抜かないことが大切です。
また、お肌はからだの健康の影響も受けるので、ターンオーバーを正常化させるために、バランス良く食べる、質の高い睡眠を取る、適度な運動を行うなど良い生活習慣を身につけることも大切です。
さらに、最近ではコラーゲンペプチド、つまりコラーゲンのサプリメントが隠れシミを改善する研究報告(*)もあります。
(*)
<参考記事>
2)シミの予防でハト麦茶は効果がありますか?
<回答>
ハトムギ茶の効果は、ハトムギの種皮を取り除いて種子を乾燥させたエキスである「ヨクイニン」によるものです。
ヨクイニンは、医療では「疣贅(ゆうぜい)」というヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが原因でできたイボに対して処方されますが、直接、シミに効果があるわけではありません。
だから、シミの予防にハト麦茶で効果があるとはいえません。
しかし、ヨクイニンには、ターンオーバーの促進作用があるので、メラニンの排出を助けるという観点では、少しはシミ予防に役立つ可能性はあります。
<参考記事>
3)シミ対策でサプリやスキンケアを購入する場合には、成分など何を参考に購入すれば良いでしょうか?
<回答>
シミ対策のサプリやスキンケアのアイテムとしては、主に次の4つがあります。
それぞれについてポイントをお示します。
①美白化粧品
美白化粧品とは、厚生労働省が承認した「美白有効成分」を含む美白化粧水や美白美容液などです。
最近では、美白有効成分を配合したオールインワンジェルなども登場しています。
これらの美白化粧品は、「医薬部外品」(薬用化粧品)で、「紫外線によるメラニンの生成を抑え、シミやそばかすを防ぐ」ことができます。
つまり、シミの予防対策が可能です。
ただし、「お肌をもとの肌より白くする」ことはできません。
美白有効成分には、次のようなものがあります。
- m-トラネキサム酸
- プラセンタエキス
- カモミラET
- ビタミンCエチルほかビタミンC誘導体
- ナイアシンミド
- 4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)
アルブチン
<参考記事>
*美白への過度な期待はお肌をダメに!正しい美白化粧品の選び方の秘密
*出来てしまったシミに効く市販化粧品は?シミ対策クリーム18選!ドラッグストアのプチプラも
②日焼け止め
日焼け止めの成分には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2種類があります。
紫外線吸収剤が入った日焼け止めはケミカル処方、紫外線散乱剤だけを配合した日焼け止めはノンケミカル処方と呼ばれます。
紫外線吸収剤のメリットは、防御力の高さや使用感のよさです。
一方、デメリットは、肌への負担が大きいことや時間経過とともに日焼け止め効果が下がる光劣化が起こることです。
一方、紫外線散乱剤は、肌への負担が小さく、紫外線の幅広い波長に防御力を発揮できるのがメリットです。
中でも、酸化セリウムや酸化鉄などの成分はブルーライトをカットする効果があり、また光劣化しにくいこともメリットです。
一方、デメリットとしては、白浮きやべたつき、紫外線吸収剤と比べると防御力が低いといった点があげられます。
最近ではどちらのタイプの成分も改良が進み、欠点が減りつつあります。
刺激を感じなかったリ、肌が強ければどちらを選んでも問題ありませんが、敏感肌や肌が弱い方には、ノンケミカル処方の日焼け止めをおすすめします。
いずれの日焼け止めも正しく使うこと、必要に応じてこまめに塗りなおすことが大切です。
<参考記事>
*日焼け止めの使い分けと選び方は、年齢・季節・利用シーンで!
*日焼け止めは正しい塗り方と使い方が大切!紫外線をカットするコツ
③飲む日焼け止め
最近では、飲む日焼け止めの種類も増えています。
しかし、飲む日焼け止めを使えば、塗る日焼け止めが不要になるわけではありません。
つまり、飲む日焼け止めが塗る日焼け止めの代わりになるのではないのです。
これについては、アメリカ皮膚科学会でも、「これらの飲む日焼け止めを、塗る日焼け止めや、日焼けから守る衣服の代わりとして使用しないよう」警告を発令しています。
あくまで補助的な紫外線対策のアイテムと考えて使いましょう。
ここでは、飲む日焼け止めの成分をご紹介します。
- ニュートロックスサン
天然のシトラス果実とローズマリーの抽出物を、 特定の配合で混ぜ合わせた成分。
ニュートロックスサンが推奨量である1日分250mg以上含まれている商品には、傘の絵が目印のロゴマークが記載されています。
- ファーンブロック
中米原産のシダの一種であるポリポディウムロイコトモスの抽出物です。ハーバード大学と光老化対策を研究する専門家チームにより研究が進められた成分です。
日焼けによる皮膚の損傷を防ぎます。
- クコの実エキス
ビタミンやポリフェノールなどが豊富なスーパーフードの1つです。
クコの実エキスはビタミンCの約6倍の抗酸化作用があり、メラニン色素が増えすぎるのを防ぎます。
④サプリメント
サプリメントも飲む日焼け止めと同じく、塗る日焼け止めの代わりになるわけではありません。
あくまで紫外線対策の補助的なものです。
サプリメントの成分としては、抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eを積極的に摂取することがポイントです。
- ビタミンA
肌の新陳代謝を促進して、ターンオーバーを正常化するはたらきがあります。
レバー、うなぎ、卵、乳製品、アンコウの肝などに豊富です。
- ビタミンC
メラニン生成を遅延させたり、メラニン色素を淡色化するはたらきがあります。
また、ビタミンCはコラーゲンを増やすサポートをします。
果物ではキウイ、レモンなどのかんきつ類、野菜ではピーマン、さつまいも、じゃがいも、キャベツ、セロリ、ブロッコリー、かぼちゃ、ゴーヤ、ほかでもスーパーフードの一つであるクコの実、ローズヒップティー、緑茶に豊富です。
- ビタミンE
肌の酸化を防ぐ抗酸化作用以外に、血行を促進するはたらきがあります。
アーモンモンドなどのナッツ類、小松菜、モロヘイヤ、きな粉、豆乳に豊富です。
4)ビタミンAやC、Eの入っている化粧品ってアンチエイジング効果を期待できるのですか?
<回答>
ここでは、アンチエイジングとエイジングケアを分けて考えることがポイントです。
アンチエイジングとは、「老化に抗う」ことです。
一方、エイジングケアとは、「年齢に応じたお肌のお手入れ」です。
まず、大前提として化粧品や医薬部外品では、アンチエイジングまではできません。
しかし、ビタミンA、C、Eは、年齢肌に対して良いはたらきがあり、いくつかの成分は「美白」や「シワ改善」の医薬部外品として承認されています。
だから、エイジングによる肌老化の予防や改善にはある程度、役立つといえます。
しかし、医薬品のような効果が期待できるわけではありません。
前の質問でも簡単に触れましたが、ビタミンA、C、Eは、酸化を防ぐほか、健康や肌にとって良いはたらきがあります。
だから、必要とされている量を食べ物やサプリメントから摂ることは、健康や美肌のためには良いことです。
<参考記事>
*外出時の紫外線による日焼けのアフターケアはビタミンACEで!
一方、化粧品成分としては、いずれも多くの場合、安定性を高めるために、誘導体として少し構造を変えています。
また、それぞれいくつかの種類に分かれます。
次のような点がポイントです。
- ビタミンA誘導体
レチノールやパルミチン酸レチノール、レチノイン酸トコフェリルなどがあります。
純粋レチノールは、医薬部外品として、「シワ改善」の効能を取得しています。
- ビタミンC誘導体
水溶性、両親媒性、油溶性の3つのタイプがあります。
水溶性ビタミンC誘導体としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビルグルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸(VCエチル)などがあります。
両親媒性ビタミンC誘導体としては、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(APPS)、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸(VC-3LG)などがあります。
油溶性ビタミンC誘導体としては、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(VCIP)などがあります。
パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸((VC-3LG)以外は、「美白有効成分」としての効能を取得しています。
- ビタミンE誘導体
油溶性の酢酸トコフェロールや両親媒性のトコフェリルリン酸ナトリウムなどがあります。
酢酸トコフェロール(医薬部外品名:酢酸DL-α-トコフェロール)は、医薬部外品として肌荒れ予防の効能を取得しています。
5)両頬にできた薄いシミへのアプローチ方法は?
<回答>
両頬にできた薄いシミを診て、どのタイプのシミかを鑑別診断しないと正しいアプローチはできません。
治療を望む場合は、皮膚科や美容皮膚科を受診されることをおすすめします。
ただ、1つの可能性として、そのシミが頬骨のあたりを中心に、額や口の周辺などに左右対称、かつ、ほぼ同じ形、同じ大きさで現れているなら肝斑の可能性があります。
<肝斑のイラスト>
肝斑の治療としては、次のようなものがあります。
- 内服治療 ビタミンC、トラネキサム酸
- 外用治療 ハイドロキノン、トレチノイン
- ケミカルピーリング
原則、レーザー治療では治療できませんが、最近ではピコトーニングなど有効なものがある
<参考記事>
*肝斑は女性ホルモンの乱れが原因!シミとは違う予防や改善・治療法
6)良い皮膚科を行きたいので見分け方や選ぶポイントがあれば教えて欲しい
<回答>
まず、電話してその応対が親切、丁寧かなどを確認してみてはどうでしょうか。
また、内科や整形外科など複数の診療科の1つとして皮膚科があるクリニックよりも、皮膚科だけを標榜しているクリニックのほうが専門の医師である可能性が高いです。
初めて受診する場合は、こうした点がポイントではないでしょうか。
また、実際に受診した際は、次のようなことも大切ではないでしょうか。
- 医師自らがカウンセリングを行い、親身になって、ちゃんと話を聞いてくれる。
- 治療の選択肢、それぞれの治療期間、メリットとリスク、費用などをしっかり説明した上で、治療を始めるまでに時間的な猶予を与えてくれる。
- 医療スタッフの対応が親切で明るい。
- 待合室や診察室が清潔。
自分と波長が合って違和感がない(何となく感覚が合う)。
ほかにも、患者さんからはわかりにくい点ですが、次のようなこともポイントとなります。
- 一定年数の経験や治療件数といった臨床経験の豊富さ。
- 皮膚科学の正しい知識を持っている。
新薬、新たな医療機器、新しい治療法などの情報を入手し、進化する皮膚科学へのキャッチアップに取り組んでいる。
<参考記事>
7)レーザー治療後の再発はないのか?
<回答>
結論からいえば、シミのレーザー治療後の再発はあり得ます。
ただし、それは再発というよりも、新たなシミが目立っていることが多いのです。
たとえば、目立つシミをレーザーで改善しても、まだ目立っていないシミ(隠れジミ)が時間経過とともに目立つようになることがあります。
その理由は、レーザー治療では、皮膚の表面に出ているシミの分解や排出はできても、メラニンそのものを生成するメラサイトという細胞を壊すことはできないからです。
そのため、紫外線ダメージや加齢によって、治療したシミの付近に新たなものが出てくる可能性があるのです。
また、レーザーの強さ、治療の回数不足、肝斑など一般的なレーザーの効果がない場合では、シミが改善されないこともあり、それを再発と感じてしまうこともあります。
だから、シミのレーザー治療後も、紫外線対策によるシミ予防を怠らないようにしましょう。
8)美容家電(フラクショナルレーザー)を使ってシミ対策をしています。現在2ヵ月間、毎日使用し、1ヵ月間休む、のサイクルです。シミは薄くなりました。が、この美容家電いつまでも続けても大丈夫でしょうか。
<回答>
一般にフラクショナルレーザーとは、皮膚にごく微細なマイクロレーザーを照射して、皮膚の深い層に熱ダメージを与えることでシミを改善しようとする治療法です。
その仕組みが、今では美容家電に利用されるようになっています。
これは、美容医療で使うものと比べると、より微細なレーザーを使うので、その効果は緩徐なことから、ダウンタイムはほとんどないものです。
薄いシミにはある程度効果が期待できるといわれていますが、レーザー治療の中では老人性色素斑(一般的なシミ)と脂漏性角化症(イボ)以外ではほとんど効果がないことがわかってきました。
「この美容家電いつまでも続けても大丈夫でしょうか。」というご質問ですが、これは製造元や販売元に確認していただくことが必要です。
9)ズバリ、今見えているシミを消すには何が良いでしょうか?
<回答>
今ある治療の選択肢の中で、もっとも効果が高いのはレーザーです。
もちろん、レーザーでもすべてのシミに効果があるわけではありませんので、美容治療では、まずそのシミがどんなタイプで何が原因なのか、また大きさなどを見極める鑑別診断を最初に行います。
つまり、原因、症状、重症度などを総合的に診た上で、最適な治療法を提案させていただくことになります。
10)仕事の関係で、暑いときは帽子を被りますが、忙しくて被れない時もあるので、前もって対策すべき事が有れば教えて下さい。
<回答>
紫外線対策のために帽子をかぶることは良いことです。
効果的なのはツバの広い帽子です。
できれば、紫外線対策のためには、外で仕事をされる場合は、帽子をかぶることをおすすめします。
ご質問の回答ですが、仕事の関係で日中に外へ出る機会が多いなら、太陽光線があたる部位には日焼け止めを塗ることをおすすめします。
また、日ごろからビタミンACEを含む食べ物やサプリメントを摂ること、飲む日焼け止めを飲むことも良い選択肢です。
ただし、これらは帽子や日焼け止めの代わりではなく、あくまで補助的なものと考えてください。
なお、帽子や日焼け止めを忘れて、うっかり日焼けした場合は、水で冷やしたり、保湿ケアをすることも大切です。
また、アラントインやグリチルリチン酸2Kなどの抗炎症成分が入った化粧品や医薬部外品でケアしましょう。
<参考記事>
11)レーザー治療には種類があり価格も違うので戸惑いますが、面倒でも一回でしっかりシミを取ることが出来る治療を選ぶべきでしょうか?以前「フェイシャル」と呼ばれているレーザーを定期的に何度か行いましたが、照射したところが黒く跡になっています。
<回答>
シミのレーザー治療はたくさんの選択肢がありますが、シミの種類によって効果が異なります。
治療法 | ソバカス (雀卵斑) | 一般的なシミ (SK) | ADM | 肝斑 | 炎症性色素沈着 |
遮光 | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ |
HQ、Trなど | 〇 | 〇 | × | 〇 (危険もあり) | △ (メリット<危険) |
ロングパルスレーザー、光治療 | ◎ | ◎ | × | × | × |
炭酸ガスレーザー、Er:YAGレーザー | × | ◎ (厚みのあるもの) | × | × | × |
Qスイッチレーザー | ◎ | ◎ | × | × | × |
ピコ秒レーザー | ◎ | ◎ | ◎ | × (トーニング) | × |
フラクショナルレーザー | △ | △ | × | × | × |
◎著効 〇有効 △やや有効 ×無効
<出典>
「エビデンスに基づく美容皮膚科治療 (宮地良樹、葛西健一郎 編、中山書店)」を改変
だから、シミをしっかりと鑑別診断して、最適なレーザー治療を選ぶことが大切です。
また、ご自身のライフスタイルや経済事情などを考慮しながら、主治医と相談してどの治療法を選ぶかを決めましょう。
さらに、レーザー治療以外にも内服薬や外用薬などもあるので、レーザーにこだわらずご自身のシミに合った治療法を選ぶことが大切です。
ご質問のレーザーフェイシャルとはロングパルスアレキサンドライトレーザーを低出力にして顔全体に当てる治療です。
表皮近くに存在する小さな点状のシミの改善に向いた治療法です。
副作用としては、次のようなものがあります。
- ヒリヒリした痛みやかゆみ
- 患部の赤みや熱っぽさ
- 一時的なニキビの発生
一時的な患部の炎症後色素沈着
多くのケースでは、一時的な症状で時間の経過とともに軽減します。
「照射したところが黒く跡になっています」とのことなので、炎症後色素沈着の可能性があります。
実際に、症状を診ていませんので、一度、主治医に相談されてはいかがでしょうか。
12)できてしまったたくさんのシミ、消えるのでしょうか?シミを作らない対策はよく聞くのですが。
<回答>
質問9と同じ回答になります。
13)シミにレーザーはどのくらい効果がありますか?
<回答>
質問11と同じ回答になります。
14)元々色黒ですが白くなれますか?
<回答>
肌の色は、生まれつきのメラニンの量で決まります。
スキンケアやエイジングケアでキメを整えることで、その方本来の肌の美しさをキープすることは可能です。
また、シミ治療によってくすみを改善し、その方本来の肌の透明感を取り戻すことも可能です。
しかし、生まれつきの色黒を白くすることはできません。
15)シミと食べ物や生活スタイルとの関係
<回答>
シミが多いか少ないかは、食べ物や生活スタイルと大きく関わっています。
シミは、大きく老人性色素斑、雀卵斑、肝斑、ADM(真皮性メラノサイトーシス)、炎症後色素沈着の5種類または脂漏性角化症を加えた6種類に分かれますが、紫外線ダメージの蓄積をはじめ生活習慣の問題や間違ったスキンケア、ストレスほかさまざまな原因で発生します。
まず、最も気をつけたいのが紫外線です。
シミは、多くの場合、メラニンが肌に沈着したものです。紫外線によるダメージで表皮にあるメラノサイト(色素細胞)からメラニンが多量に生成されます。
メラニンは、肌が健やかな状態なら、ターンオーバーによって排出されますが、紫外線を浴び続けると、その排出が追いつかなくなってシミとして肌に残ります。
だから、まずシミの予防には、紫外線を浴びない生活スタイルが大切です。
また、間違ったスキンケア、睡眠不足、心身のストレス、ホルモンバランスの乱れ、適量を超えるアルコール(お酒)、喫煙などもターンオーバーの乱れの原因です。
だから、生活習慣の乱れや過労、不安などによってターンオーバーが乱れ、シミの原因になることがあります。
ほかでは、虫刺され、ナイロンタオルなどでからだを洗う、金属によるアレルギー、化粧品によるかぶれなどでの炎症もメラニンがたくさん生成されます。それが炎症後も残ると、炎症後色素沈着になってしまいます。
このように、シミと日々の生活は大いに関わっています。
もちろん、毎日の食生活もシミに関係します。
乱れた食生活は、肌への栄養素が不足することでターンオーバーの乱れにつながります。
また、糖質の摂りすぎもターンオーバーの乱れの原因になるので、シミを増やす原因になる可能性があります。
特に、糖質の摂りすぎはシミだけではなく、糖化の原因となって、黄ぐすみが目立つこともあるので要注意です。
もう1つ知っておきたいのは、住んでいるエリアなどでも紫外線の強さは違うことです。
日本は縦長の国ですが、基本期には緯度が低いほど紫外線は強く、高いほど弱くなります。
また、紫外線の強さは、平地<海<山の順で大きくなります。
こうした地理的環境や生活している場所によって、必要な紫外線対策が異なります。
16)色素沈着とシミの違いについて、それぞれの改善法について興味があります。どうぞよろしくお願いいたします。
<回答>
色素沈着でできるシミは、炎症後色素沈着と呼びます。
炎症後色素沈着とは、ニキビや傷、肌荒れなどで皮膚が炎症を起こし、その後色素沈着してシミになったものを指します。
また、虫刺され、ゴシゴシからだを洗う、ナイロンタオルによる摩擦なども原因になります。
これらによって、皮膚が炎症を起こすと、体内に酸化を促進する活性酸素が増え、メラノサイト(色素細胞)を刺激します。
すると、チロシナーゼという酸化還元酵素が活性化し、チロシンを黒色メラニンへとつくり変えてしまいます。
このメラニン色素がお肌に残った状態が炎症後色素沈着なのです。
炎症後色素沈着以外のシミには、老人性色素斑、肝斑、雀卵斑、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)があります。
また、シミのようなイボに脂漏性角化症があります。
これらは、すべて紫外線が原因となって、悪影響を与えます。
それぞれの改善法は、セミナーでお話したとおりですが、下記をご参照ください。
シミの種類 | |
老人性色素斑 | レーザーが有効 Cryo(凍結)治療が有効な場合もある |
雀卵斑(そばかす) | レーザーが有効 ピコレーザー IPL(光治療) |
肝斑(かんぱん) | 妊娠による肝斑は出産後、自然に治る 内服治療:ビタミンC、トラネキサム酸 外用治療:ハイドロキノン、トレチノインケミカルピーリング レーザーが有効な場合もある |
炎症後色素沈着 | なるべくさわらないこと 内服治療:ビタミンC、トラネキサム酸 外用治療:ハイドロキノン、トレチノイン レーザーが有効な場合もある |
ADM | Qスイッチレーザー、ピコレーザー IPL、レーザートーニングは効果がない 真皮の疾患なので塗り薬や飲み薬は効果がない |
脂漏性角化症 | 切除 Cyro療法 レーザー |
*オンラインセミナー「シミ対策は間違うと悪化も!皮膚科医直伝の見分け方と動画で見る美容医療」スライドより転載
<参考記事>
17)シミに効くと言われる美容液での効果はどこまでありますか?
<回答>
質問3)①をご参照ください。
18)シミ治療というと自由診療のイメージがありますが、保険診療の対象となる治療があれば教えてください。
<回答>
エステティック(審美)を目的としたシミの治療は、保険適応となりません。
つまり、自由診療です。
皮膚科のシミ治療で保険適用となるのは、脂漏性角化症の液体窒素や外科的措置による治療法です。
また、肝斑のトラネキサム酸やビタミンCなどの内服薬の処方も一定期間であれば、保険適応となります。
ほかにも、ADMはQスイッチレーザーでのみ治療が可能ですが、保険適用となっています。
19)閉経後にシミが濃くなった気がします。ホルモンと関係しますか?
<回答>
女性ホルモンのバランスが影響してできるシミは肝斑です。
妊娠やピルの服用で目立つことがあります。
肝斑が発生しやすいのは30〜40歳代の女性で、症状が見られるのはだいたい50歳代後半までです。
その後、閉経とともに薄くなったり、消えたりする傾向にあるといわれています。
また、高齢の方で発症することはまれです。
閉経後にシミが濃くなったということですが、1つのシミではなく複数が同時に発症した可能性もあります。
たとえば、肝斑は薄くなる一方で、加齢が進むことで濃くなる可能性のある老人性色素斑や脂漏性角化症が目立ってくるケースなどがあります。
50代を超えると1種類ではなく、複数のシミが同時に近い部位に目立つことはまれではありません。
20)シミが無い人はいますか?
<回答>
実際に確認ができませんが、40代以上でシミがまったくない方は極めてまれではないでしょうか。
どんなに紫外線対策をしても年齢を重ねると一定量の紫外線ダメージが蓄積します。
そのため、目立つほどではないにしても小さなシミができる可能性は高いと思います。
シミ対策は完璧主義ではなく、できることを継続してやっていくことが大切です。
21)エステサロンにある、低周波によるシミケア機器では効果ありますか?
<回答>
エステサロンにある低周波によるシミケア機器とは、「低周波ペンシル」と呼ばれるペンシル型の低周波機器です。
これは、約50度の低周波の微弱電流をシミに当てていくため、皮膚科などで使うレーザーほどの効果は期待できません。
その分、肌に優しく安全性が高いメリットがあります。
ほかの特徴としては、次のようなものがあります。
- 肌の表面(表皮)のみに作用する
- 繰り返すことで効果が出る
- 施術後の患部へのケアは特になし
エステサロンで施術できる
一方、皮膚科や美容皮膚科で使うレーザーは、約500~800度の高周波で行います。
そのため、医師が患者さんのケアをしながら、施術や治療を行います。
シミの正しい鑑別診断やそれに基づく治療を求めるなら、皮膚科や美容皮膚科を受診されることをおすすめします。
22)肝斑、シミはどうしたら薄くなりますか
<回答>
質問5と同じ回答になります。
23)シミを防ぐために若い時からしておいた方が良いことや、普段の生活で気をつけることを伺いたいです。
<回答>
質問5や質問15でもおおむね解説していますが、シミ対策の基本は紫外線を浴びないことです。
紫外線ダメージは、蓄積されますから、子供の時からなるべく浴びないようにするのが大切です。
外出時は日焼け止めを塗り、汗などで流れてしまうたびに、こまめにぬり直しましょう。
また、帽子や日傘、UVカットサングラス、アームカバー、手袋なども活用しましょう。
さらに、美白化粧品を使うことも大切です。
こうした直接的な紫外線ブロックに加えて、健康的な生活習慣を身につける、ストレスを溜めないなども大切です。
これらを若いうちから行うことで、シミに限らずシワや毛穴、乾燥肌ほかあらゆる肌悩みの予防に役立ちます。
3.編集後記
春へ向かい紫外線が強くなるとともに、気になるのがシミの予防や対策。
30代以上のエイジングケア世代にとっては、いつも気がかりな肌悩みではないでしょうか。
それを反映するかのように、シミについてのオンラインセミナー「シミ対策は間違うと悪化も!皮膚科医直伝の見分け方と動画で見る美容医療」の開催前に質問を募集したところ、このように数多くのご質問が寄せられました。
セミナーでは時間が限られるため、今回はこのような形でまとめましたが、セミナーをご視聴された方にとっても、そうでない方にとっても、シミの予防や改善にとても役立つ内容になっています。
ぜひ、この記事「シミに関する質問に皮膚科医の河本英恵先生が回答」が、ナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(編集:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
(校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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