安定化ビタミンE誘導体『dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)』は、4番目のシワ改善の効能を取得した医薬部外品です。本成分は、日本メナード化粧品株式会社が、長年研究開発を進めてきました。この記事では、VEP-Mのシワ改善効果を検証します。
ナールスコム店長 村上清美
メーカー営業、エステティシャンを経て、現在、ナールスゲン入りエイジングケア化粧品「ナールス」の公式サイト「ナールスコム」の店長として、ナールスブランドに関わる業務全般を担当。
<保有資格>
コスメコンシェルジュ
◆化粧品検定1級
◆日本エステティック協会認定エステティシャン
◆日本エステティック業協会上級認定エステティシャン
◆ソワンエステティック協会認定ビューティーセラピスト
CONTENTS
1.安定化ビタミンE誘導体が医薬部外品としてシワ改善の効能取得
安定化ビタミンE誘導体『dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)』は、4番目のシワ改善の効能を取得した医薬部外品です。
従来、レチノール、ナイアシンミド、ニールワンの3つがシワ改善の効能を認められていましたが、2023年にその仲間入りを果たしました。
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、ビタミンEの安定性を高めた成分です。
ビタミンE(トコフェロール)は油溶性のビタミンでは高い抗酸化能を持ち、身体の様々な老化を防ぐはたらきがあります。
一方、光や空気などにより変化しやすく、また、水に溶けにくいため、化粧品へ配合しにくい成分でした。
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、ビタミンEの安定性、溶解性を高め、高い安定性と水への溶解性を持ったビタミンE誘導体として、シワを改善する医薬部外品有効成分として厚生労働省から承認を受けました。
また、その後、真皮のコラーゲンの分解を抑える効果を発見しました。dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、真皮にもアプローチすることで、より幅広いシワ悩みに対応できると期待されています。
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、肌あれ予防効果や、メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ効果の承認を得ているので、ナイアシンアミドと同く、医薬部外品として3つの効能を取得することになりました。
この記事では、日本メナード化粧品のプレスリリース記事をもとに、従来から知られていたビタミンE(トコフェロール)やトコフェリルリン酸ナトリウムについても触れるともに、l-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)のシワ改善効果に解説します。
<参照元>
日本メナード化粧品、“シワを改善する”安定化ビタミンE誘導体で医薬部外品の新規有効成分としての承認を取得!
日本メナード化粧品、安定化ビタミンE誘導体『VEP-M』がコラーゲンの減少を防ぐことを発見
<参考記事>
シワ改善の医薬部外品は2023年4種に!効果の違いと美容医療との差
ナイアシンアミドの効果は?話題のシワ改善化粧品のおすすめ紹介!
2.ビタミンEや誘導体のはたらき
ビタミンE(トコフェロール)やビタミンE誘導体は、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)の登場以前から、化粧品や医薬部外品などに用いられています。
ビタミンE(トコフェロール)は、化粧品に配合される場合は、酸化防止のために、スキンケア製品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ製品、化粧下地製品、日焼け止め製品、マスク製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、トリートメント製品、洗顔料、クレンジング製品、ボディソープ製品、ネイル製品、制汗剤、入浴剤など様々な製品に使われています。
ナールスのエイジングケア化粧品では、エイジングケア保湿クリーム「ナールスユニバ」、フェイスマスク「ナールスリジェパーフェクトマスク」、ノンケミカル処方の日焼け止め「ナールスヴェール」にトコフェロールを配合しています。
トコフェリルリン酸ナトリウムは、油溶性と水溶性の性質を持つ両親媒性ビタミンE誘導体です。
酸化防止や、保湿効果、水分保持機能、抗炎症効果などが認められています。
また、タイトジャンクションを守るため優れたバリア機能修復肌効果があり、医薬部外品の有効成分(効能:肌荒れ防止)としても承認を受けています。
化粧品に配合される場合は、スキンケア製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、マスク製品、洗顔料、クレンジング製品など様々な製品に使用されています。
ナールスのエイジングケア化粧品では、エイジングケア化粧水「ナールスピュア」とハンド美容ジェル「ナールスロゼ」にトコフェリルリン酸ナトリウムが配合されています。
しかし、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)のようにシワ改善の効能を認められていませんでした。
それは効果が無かったのではなく、検証するための臨床試験をしてこなかったからです。
その点では、今回の日本メナード化粧品の臨床試験は、ビタミンEのシワ改善効果を示す良い研究だと言えます。
<参考記事>
トコフェロール(ビタミンE)化粧品で美肌になる5つの効果とは?
ビタミンE誘導体トコフェリルリン酸Naは化粧水にも配合できる成分
タイトジャンクションを守る!バリア機能正常化と敏感肌対策のコツ
3.VEP-Mによるシワ改善効果の検証
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)のシワ改善効果を検証するために、日本香粧品学会の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づき、臨床試験が行われました。
試験は、目尻のシワが気になる89名の女性被験者(35歳~59歳、平均年齢48.9歳)を対象にシワ改善効果を調べる臨床試験を実施しました
その結果、有効成分dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)を配合した製剤の12週間の使用により、目尻の深いシワが顕著に改善することが検証されました。
また、機器による測定(レプリカ)でも、深いシワが浅くなっていることを確認しました。
さらに、効果実感についてもアンケートで検証し、本製剤のシワ改善効果は効果実感が伴ったものであることを確認しています。
<VEP-Mとプラセボの効果比較:肌での見た目>
<VEP-Mとプラセボの効果比較:シワの深さの変化と代表例(レプリカ)>
4.シワの主な原因
しわにはさまざまな種類がありますが、主に3つです。
ここではそれらについて簡単に触れます。
<参考記事>
しわの4種類(小じわ・真皮じわ・表情じわ・たるみ)の症状・原因・対策
1)表皮の乾燥で肌の柔軟性が低下
表皮性の小じわは肌の水分量の減少が原因の1つです。
つまり、肌の乾燥が小じわの原因になるのです。
そんな乾燥肌は加齢でセラミドやヒアルロン酸が減ってしまうことが原因の1つです。
セラミドが減ると肌のバリアが低下します。また、ヒアルロン酸が減ると肌の潤いや柔軟性が失われ表皮性のシワの原因になるのです。
<参考記事>
ヒアルロン酸化粧品の保湿にはデメリットがあった!秘密と安全性
2)真皮の衰えは大ジワの原因
シワは加齢に伴い顔のさまざまな部位で目立ちます。また、深くなります。
それは、真皮のコラーゲンやエラスチンが減少するからです。
<シワの加齢変化>
加齢や紫外線による光老化など様々な要因によって線維芽細胞が老化することで、新しいコラーゲンやエラスチンが生まれにくくなります。
また、コラーゲンやエラスチンが変性してしまいます。
<真皮の構造>
日本メナード化粧品は、シワにつながるコラーゲン減少の原因として、紫外線や活性酸素により表皮で発生する炎症性の物質GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)に着目しました。
GM-CSFが真皮の線維芽細胞に作用すると、コラーゲンが分解され、シワの形成につながることがわかったのです。
<GM-CSFによるコラーゲンの分解>
<参考記事>
3)表情筋の緊張
眉間にシワを寄せたり、笑う場合のクセがある場合など、表情のクセがあると表情筋が緊張して凝り固まってしまいます。
そのため、特定の場所に表情ジワが目立ってしまうのです。
このタイプのシワはエイジングケア化粧品やシワ改善の医薬部外品でも改善しません。
美容医療でボトックス注射を受けることが改善の近道です。
<参考記事>
4)顔のたるみ
真皮より奥の皮下組織や骨、リガメントが加齢などで衰えることでたるみができます。つまり、シワの原因がたるみによる場合もあるのです。
この場合もエイジングケア化粧品やシワ改善の医薬部外品でも対策することは難しいです。
美容医療で超音波治療器HIFU(ハイフ)やRF(高周波)治療器サーマクールなどによる施術が必要になります。
<参考記事>
HIFU(ハイフ)とサーマクールの違い!たるみにおすすめは?
5.VEP-Mによるシワ改善メカニズム
VEP-Mは皮膚に吸収されると、皮膚中に存在する酵素・フォスファターゼの作用により、リン酸部分が切れてビタミンEになります。
よって、VEP-Mの効果は、ビタミンEの効果と考えられます。
1)VEP-Mはセラミドやヒアルロン酸を増やす
VEP-Mは、肌の中でビタミンEに変換され、表皮におけるセラミドとヒアルロン酸の産生を促進します。
これにより、肌の水分量を増加させて柔軟性を高め、シワを改善することがわかっています。
セラミドは肌のバリア機能を守り、水分蒸散を防ぐ成分です。
ヒアルロン酸は肌の水分保持や弾力性の維持に関与する成分です。
<VEP-Mによるセラミドおよびヒアルロン酸産生促進効果>
<VEP-Mによるシワ改善メカニズム>
2)VEP-Mはコラーゲン減少を抑える
メナードは、M-CSFが真皮の線維芽細胞に作用すると、コラーゲンが分解され、シワの形成につながることを発見していました。
また、日本メナード化粧品は、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)が表皮におけるGM-CSFの産生を抑制することを見出しました。
<VEP-MのGM-CSF産生抑制効果>
すなわち、VEP-Mは表皮からのGM-CSFの産生を防ぐことで真皮におけるコラーゲンの分解を抑え、シワの形成を防ぐと期待されます。
この表皮における作用に加え、コラーゲンの減少を防ぐという真皮への作用も示唆され、幅広い肌悩みに対応できる可能性が見出されました。
<VEP-Mのコラーゲン分解抑制メカニズム>
6.シワ改善におけるエイジングケア化粧品や医薬部外品の役割
化粧品や医薬部外品の成分はどんどん進化を遂げています。
今回もその1つであるdl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)について、シワ改善効果を日本メナード化粧品のデータに基づいてご紹介しました。
従来、シワ改善効果が認められていた、レチノール、ナイアシンミド、ニールワンとは異なったアプローチです。
そのため、従来の3つでも満足しなかった方も試す価値はあると思います。
また、ビタミンE誘導体なので刺激性もなくどんな肌質で使えると思われます。
<従来のシワ改善成分の違い>
成分 | レチノール | ナイアシンアミド | ニールワン |
化粧品メーカー | 資生堂 | ポーラ | 花王・コーセーほか |
はたらき | コラーゲンを増やす ヒアルロン酸を増やす | コラーゲンを増やす セラミドを増やす | 好中球エラスターゼを阻害 |
メリット | 効果が高い | 敏感肌でも使える | シワの予防効果がある |
デメリット | 刺激がある | 効果が緩やか | 新しい成分で副作用情報が未収集 |
しかし、医薬部外品であるためその効果には限界があります。
これらは、たるみが原因のシワや表情のクセによるシワには効果を発揮しません。
日々のエイジングケアで試してみて効果を感じない場合は、美容医療に頼ることも1つの方法です。
また、保湿や紫外線対策でシワの予防をすることも大切です。さらに食べ物をはじめとする日常生活もシワの予防のために大切であることを理解しましょう。
<参考記事>
7.ビタミンEは食べてもシワに効果的
ビタミンEは食事で摂っても、肌の酸化を防いだり、皮膚のターンオーバーを改善するなどでシワを防ぐはたらきが期待きます。
ビタミンEはアーモンドなどナッツ類やウナギ、緑黄色野菜、植物油などに豊富です。
中でもアーモンドはシワを防ぐ研究もあります。
ビタミンE配合化粧品と併せて食べ物で摂ることもおすすめです。
<参考記事>
アーモンドを食べる習慣のある人は顔のシワが少ない?研究結果発表!
8.まとめ
日本メナード化粧品株式会社が、長年研究開発を進めてきた新しいシワ改善の医薬部外品成分である安定化ビタミンE誘導体『dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)』の研究データを基に効果を検証しました。
従来からビタミンE誘導体は、酸化防止や肌荒れなどに効果が認められていましたが、2023年にシワ改善の効能を取得しました。
レチノールやナイアシンアミド、ニールワンとは異なったアプローチであるため、シワ対策に効果が期待できそうです。
この記事がシワ対策のエイジングケア化粧品に興味がある方のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
(編集・校正:村上 清美)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
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