炎症老化(インフラメイジング)とは、体内で密かに続く『慢性的な低度炎症』が老化を加速させる現象のこと。紫外線や乾燥、乱れた食生活、ストレスといった日常の積み重ねが原因となり、シワ・たるみなどの肌老化だけでなく、や生活習慣病のリスクとも直結します。本記事では、スキンケアと生活習慣の両面から、今日からできる対策を解説します。
「歳のわりに老けて見える」「シワやたるみが急に増えた気がする」——そのお悩み、もしかしたら体の中で静かに進行している「見えない炎症」が原因かもしれません。
近年、アンチエイジング研究の最前線で注目されているキーワードが「炎症老化(インフラメイジング:Inflammaging)」です。2013年に提唱された「老化のホールマーク(老化の指標)」は、2023年のCell誌にてアップデートされ、「慢性炎症」を含む12の生物学的要因として再定義されました【1】。その影響を受け、炎症と老化の密接な関係は、医学界の主要テーマの一つとなっています。
この記事では、最新の研究知見を交えながら、炎症老化の仕組みから・原因、・予防法までを分かりやすくお伝えします。について、最新の研究知見も交えながら、わかりやすくお伝えします。スキンケアから食事、睡眠などの・生活習慣まで、具体的な対策をご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
CONTENTS
この記事のポイント
- 炎症老化(インフラメイジング)は「慢性的な低度炎症が老化を加速させる現象」
- 自覚症状がほぼないまま進行し、シワ・たるみ・くすみ・生活習慣病のリスクを高める
- 主な原因は紫外線・乾燥・食生活・ストレス・睡眠不足・腸内環境の乱れ
- 予防のカギは「抗炎症ケア+消炎症ケア」の組み合わせ
- 食事・運動・睡眠・スキンケアの改善で、見た目年齢を若く保つことができる
炎症老化(インフラメイジング)とは何か
近年、老化研究において「慢性炎症」が老化を進める重要な要因として注目されています。老化の生物学的特徴をまとめた(Hallmarks of Aging)では、遺伝子情報の傷(ゲノム不安定性)や細胞の寿命に関わる『テロメア短縮』などと並び、慢性炎症が老化を決定づけるの重要な要素の一つであることが示されています【1】。
また、『慢性的な低度炎症』が老化や生活習慣病の共通基盤であるという概念は「インフラメイジング(inflammaging)」と呼ばれます。これは「炎症(Inflammation)」と「老化(Aging)」を組み合わせた造語で、糖尿病や動脈硬化、神経変性疾患など、多くの加齢性疾患に関与していることが報告されています【2】。
本来、炎症は体を守るための正常な『防御反応』です。ケガをしたり細菌が侵入したりすると、免疫細胞が集まり、傷ついた部位を修復します。しかしこの炎症が完全に収束せず、弱いレベルのまま長期間続いてしまうと、正常な細胞や組織にダメージを与え、老化を加速させてしまうのです。
1)急性炎症と慢性炎症の違い
炎症には大きく2種類あります。その違いを比較してみましょう。
| 項目 | 急性炎症 | 慢性炎症(炎症老化) |
| 期間 | 数日〜数週間(一過性) | 数ヶ月〜数十年(持続的) |
| 自覚症状 | 発赤・腫れ・痛みなど明確 | ほぼなし(サイレント) |
| 主な原因 | ケガ・感染症 | 加齢・生活習慣・紫外線など |
| 肌への影響 | 一時的な赤みなど | コラーゲン減少・シワ・たるみ |
| 全身疾患リスク | 低い | 高い(糖尿病・動脈硬化・認知症など) |
慢性炎症の厄介な点は、自覚症状がほとんどないこと。「サイレント炎症」とも呼ばれ、気づかないうちに体の内側でじわじわと老化を進めていきます。
2)炎症老化はいつから始まるの?
研究によれば、炎症に関わるサイトカインなどの分子は50歳頃から増え始め、60歳を過ぎると急激に増加することがわかっています。ただし、生活習慣によって個人差が大きく、20〜30代でも不健康な生活を続けると早期から炎症老化が進む可能性があります。
なぜ慢性炎症が老化を加速させるのか——メカニズム解説
1)炎症性サイトカインの増加
炎症が起こると、体内では「炎症性サイトカイン(IL-6・TNF-αなど)」と呼ばれる情報伝達物質が分泌されます。加齢とともにこれらのサイトカインが慢性的に増加し、常に体内で「炎症スイッチ」が入った状態になります。
炎症性サイトカインはコラーゲンを分解する酵素(MMP:マトリックスメタロプロテアーゼ)を活性化させ、真皮のコラーゲンやエラスチンが壊されていきます。これがシワやたるみの直接的な原因となります。
2)老化細胞の蓄積(SASP)
加齢とともに増える「老化細胞」は、もはや分裂できなくなった細胞ですが、単に居座るだけではありません。老化細胞は「SASP(サスプ:細胞老化関連分泌因子)」と呼ばれる炎症物質やタンパク分解酵素を放出し、周囲の正常な細胞まで老化させてしまう「老化の伝染」を引き起こします。
2016年にNature誌に発表された研究では、老化細胞を取り除いた個体で寿命が延び、老化表現型が抑制されることが示されました。老化細胞が増えるほど周囲も「老化しやすい環境」になる、という悪循環が生じます【3】。
3) テロメア短縮とDNA損傷
細胞が分裂するたびに、染色体の末端にある「テロメア」は少しずつ短くなります。テロメアがある一定の長さまで短くなると細胞は老化細胞へと移行します。同時に、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアにも損傷が生じ、ミトコンドリアDNA(mtDNA)が細胞質へ漏出することで炎症反応が誘導されることがあります。テロメア短縮は細胞老化や慢性炎症と関連し、加齢関連疾患のリスク上昇とも関係することが報告されています【4】。
4)腸内環境の悪化(リーキーガット)
加齢や生活習慣の乱れにより腸内細菌叢の多様性が失われ、腸のバリア機能が低下することがあります。これを「リーキーガット(腸管漏出症候群)」といいます。バリア機能が壊れると有害な物質が体内に入り込み、全身で炎症を加速度的に進める原因となります【5】。
5)皮膚での炎症→バリア低下→さらに炎症の悪循環
皮膚における炎症老化の悪循環は、次のように起こります。
慢性炎症 → コラーゲン分解・肌バリア機能低下 → 乾燥・外部刺激を受けやすくなる → さらに炎症が誘発される → さらにコラーゲン減少…という負のスパイラルが起きています。
炎症老化が引き起こす肌・健康への影響
炎症老化は単に「老けて見える」だけの問題ではありません。全身の健康に深刻な影響を与えます。
1)肌への影響
ナールス公式ブログの記事『炎症老化(インフラメイジング)とは?肌老化を加速させる「見えない炎症」の正体』で詳しく解説していますが、下記のような肌への影響があります。
- コラーゲン・エラスチンの分解によるシワ・たるみ
- メラニン生成の乱れによるシミ・くすみ
- 肌バリア機能の低下による乾燥・敏感肌
- ターンオーバーの乱れによるくすみ・毛穴の開き
2)全身疾患リスクへの影響
米国立老化研究所(NIA)の老年医学者・疫学者ルイジ・フェルッチ氏は、「炎症は老化の柱と考えられている」と述べています。研究者たちが定義した「老化の12のホールマーク(特徴)」と呼ばれる加齢に伴う生物学的変化のすべてが、炎症と関わっているとされており、炎症老化が老化研究の中心概念であることを示しています【1】。
- 2型糖尿病(インスリン抵抗性の増加)
- 動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中
- アルツハイマー型認知症・脳機能低下
- がん(慢性炎症は発がんリスクを高める)
- 関節リウマチ・変形性関節症
炎症老化の主な原因
1) 紫外線(光老化との相乗効果)
紫外線を浴びると皮膚で活性酸素と炎症性サイトカインが大量に発生します。これが繰り返されることで慢性的な光老化+炎症老化の相乗効果が生まれ、真皮のコラーゲンやエラスチンが破壊されます。日焼け止めを使用しない状態が続くと、炎症老化を進める要因になる可能性があります。
2) 乾燥と肌バリア機能の低下
肌の角質層が乾燥すると外部刺激(細菌・ほこり・化学物質)が侵入しやすくなり、皮膚での炎症が慢性化します。適切な保湿ケアでバリア機能を維持することが、炎症老化予防の基本となります。
3) 食生活の乱れ(糖化・酸化)
AGEsは炎症反応や酸化ストレスを誘導し、糖尿病や動脈硬化などの慢性疾患の発症に関与することが報告されています【6】。高糖質・高脂質な食事が続くと体内で「AGEs(終末糖化産物)」が増加し、炎症を促進します。内臓脂肪が蓄積すると脂肪細胞から炎症性物質が分泌され、全身の慢性炎症へとつながります。また野菜不足による抗酸化力の低下も炎症老化を進める一因です。
4)ストレスと睡眠不足
慢性的なストレスはコルチゾールの過剰分泌を招き、免疫バランスを乱して炎症を悪化させます。睡眠不足(7時間未満)は免疫細胞の働きを低下させ、炎症を調整する機能が落ちることがわかっています。
5)喫煙・過度の飲酒
タバコに含まれる有害物質は体内の炎症反応を直接高め、抗炎症物質のレベルを低下させます。過度の飲酒は肝臓に慢性炎症を引き起こし、腸のバリア機能も低下させます。
6)口腔内の炎症(歯周病)
意外に見落とされがちですが、歯周病は全身の炎症老化を加速させる重大な要因です。歯周組織で産生された炎症性サイトカインは血液や血管を通じて全身の臓器へ影響します。定期的な歯科検診と口腔ケアは炎症老化対策の一環として欠かせません。
炎症老化を防ぐ最新スキンケア&エイジングケア
炎症老化へのスキンケアアプローチは、従来の「炎症を抑える」だけでなく、炎症を終息させる「消炎症(resolution)」という視点も重要とされています。
皮膚老化研究では、炎症の終息を促すことが新しいエイジングケア戦略として注目されています【7】。
1)最優先で紫外線対策を
SPF30以上・PA+++以上の日焼け止めを、季節を問わず毎日使用することが不可欠です。帽子・サングラス・日傘との併用でより高い効果が期待できます。
2) 保湿ケアで肌バリアを守る
セラミド・ナールスゲン・ナイアシンアミドなどを含む保湿アイテムで、角質層の水分を維持します。洗顔後すぐに保湿することが重要で、特に乾燥しやすい秋冬はクリームまで使用する習慣をつけましょう。
3) 抗酸化成分・抗炎症成分の活用
スキンケア成分は「抗酸化成分」と「抗炎症成分」に分けて理解しておくと、製品選びに役立ちます。どちらも炎症老化対策に欠かせませんが、アプローチが異なります。
①【抗酸化成分】活性酸素を除去し、炎症の”火種”を断つ
- ビタミンC誘導体:コラーゲン生成を助け、メラニン抑制・酸化ストレスを軽減
- ビタミンE(トコフェロール):脂質の酸化を防ぎ、細胞膜を保護
- レチノール(ビタミンA):コラーゲン産生を促進し、ターンオーバーを整える
- ポリフェノール(緑茶エキス・レスベラトロールなど):強力な抗酸化作用で細胞の酸化ダメージを防ぐ
ビタミンC誘導体の中で、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸(セラミドプロモーター)はセラミドを増やすため使いやすい成分です。
②【抗炎症成分】炎症シグナル(NF-κB経路など)を直接ブロックする
炎症反応の”司令塔”であるNF-κB(核内因子カッパーB)は、炎症性サイトカインの産生を指令する転写因子です。このNF-κB経路を抑制できる成分を選ぶことが、炎症老化ケアの核心となります。
- アーチチョーク葉エキス:NF-κBの活性化を抑制し、炎症性サイトカイン(IL-1β・TNF-αなど)の産生を根本から抑える成分。ルテオリン・シナロピクリンなどの有効成分が複合的に作用し、肌の慢性炎症を鎮静化する次世代抗炎症成分として注目されている。詳しくは、「アーチチョーク葉エキスで毛穴レスな美肌!とても不思議な効果とは?」をご覧ください。
- ナイアシンアミド:炎症性サイトカインの分泌を抑えるとともに、バリア機能強化・くすみ改善にも効果的な成分。詳しくは、「ナイアシンアミドの効果は?話題のシワ改善化粧品のおすすめ紹介!」をご覧ください。
- グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K):甘草由来の抗炎症成分。炎症を鎮静しバリア機能をサポート。詳しくは、「グリチルリチン酸2K(ジカリウム)化粧品の効果と安全性は?」をご覧ください。
- ツボクサエキス(CICA):肌修復・炎症鎮静作用があり、敏感肌・炎症後の肌回復に有効。
4)やさしい洗顔・摩擦ゼロ
強い洗浄力の洗顔料や激しくこすることは、肌バリアを壊して炎症の起点となります。ぬるま湯で泡を転がすようにやさしく洗い、タオルもやさしく押さえるだけにしましょう。
<参考記事>
エイジングケア世代におすすめの日焼け止め20選!選び方のポイントも徹底解説!

日々、お客様のご相談をお受けしていると、「急に肌の調子が変わった」「以前より乾燥やくすみが気になるようになった」という切実なお声をよくお聞きします。こうした変化の背景には、紫外線や乾燥、摩擦などによる『微細な炎症』の蓄積が深く関わっています。だからこそ日々のスキンケアでは、刺激の強いケアを増やすよりも、まずは肌をやさしく健やかに守り抜くことが何よりも大切です。日焼け止めによる徹底した紫外線対策、十分な保湿、摩擦を抑えた優しい洗顔。こうした『基本の積み重ね』こそが、未来の肌を左右します。肌は毎日のケア次第で必ず応えてくれます。ナールスのエイジングケア化粧品シリーズには、この章で紹介したビタミンC誘導体やナイアシンアミドほかほぼすべての成分を配合しています。ご自身の肌と向き合いながら、心地よく続けられるケアを見つけていただければ嬉しいです。
炎症老化を防ぐ生活習慣
1)抗炎症食を意識した食事
食事が体内炎症状態に与える影響を評価する「DII(Dietary Inflammatory Index:食事炎症指数)」という指標があります。この指標は食事の炎症促進・抑制作用を評価するために開発され、栄養学研究で広く用いられています【8】。例えば、慢性炎症を防ぐ食材として、野菜・スパイス・魚・ハーブが優れていることが示されています。
- 青魚(サバ・イワシ・サーモン):オメガ3脂肪酸が炎症を抑制
- 緑黄色野菜・ベリー類:ビタミンC・E・ポリフェノールで抗酸化
- 緑茶・ウコン(クルクミン):強い抗炎症・抗酸化作用
- 発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌):腸内環境を整え炎症を抑制
- オリーブオイル:ポリフェノールと一価不飽和脂肪酸が炎症を軽減
逆に、白砂糖・精製炭水化物・トランス脂肪酸・加工食品・アルコールの過剰摂取は炎症を促進するため、控えることが大切です。
2)適度な運動でミオカインを活用
ウォーキングや軽い筋力トレーニングなどの運動をすると、筋肉から「ミオカイン」と呼ばれる物質が分泌されます。ミオカインには炎症を抑える働きがあり、性炎症の改善に関与する可能性が報告されています【9】。そのため、毎日30分程度の有酸素運動が推奨されています。また適度な運動は微小循環を促進し、老廃物の排出を助けることでも炎症老化を抑制します。
3) 質の高い睡眠
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーや全身の修復が行われます。7〜8時間の睡眠を確保し、就寝前のスマートフォン使用・カフェイン摂取・激しい運動は避けましょう。慢性的な睡眠不足は炎症性サイトカインの増加と関連しており、慢性炎症や疾患リスクの増加につながる可能性があるとされています【10】。
4)ストレスマネジメント
ストレスホルモン(コルチゾール)の慢性的な高値は免疫バランスを崩し、炎症を悪化させます。毎日10〜15分の深呼吸・瞑想・マインドフルネスが炎症性サイトカインを低下させる効果があるとする研究があります【11】。趣味・軽い運動・自然の中での散歩なども有効です。
5) 禁煙・節酒
喫煙は炎症老化の最も強力な促進因子の一つです。禁煙により炎症マーカーが改善されることは多くの研究が示しています。飲酒は適度な量(1日1杯程度のワインなど)であれば抗酸化成分の恩恵を受けられる場合もありますが、過度の飲酒は避けましょう。
6)口腔ケア
毎日の丁寧なブラッシング・フロス使用・定期的な歯科クリーニングで歯周病を予防することが、全身の炎症老化抑制につながります。
<参考記事>
アンチエイジング的生活習慣は肌老化予防にエイジングケアより大切

炎症老化はスキンケアだけでなく、生活習慣の影響も大きいと考えられています。私自身も日頃から炎症を抑える生活を意識しており、毎日1万歩のウォーキングを6年間続けています。また、抗酸化を意識してビタミンCやビタミンEを積極的に摂取し、青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸も意識して食事に取り入れています。こうした習慣は体内の炎症バランスを整えるうえで大切だと感じています。エイジングケアは化粧品だけではなく、食事・運動・睡眠など日常生活の積み重ねが重要です。体の内側と外側の両方からケアを行うことが、健康的で若々しい肌環境を保つポイントだと考えています。
炎症老化チェックリスト
以下の項目が多く当てはまる方は、炎症老化が進んでいる可能性があります。
5項目以上当てはまる方は、今日から抗炎症ライフスタイルへの見直しをおすすめします。
| 炎症老化チェック □ 日焼け止めをほぼ毎日使っていない □ 野菜より肉・揚げ物を多く食べる □ 睡眠が6時間未満のことが多い □ 慢性的なストレスを感じている □ 喫煙習慣がある □ 肌が乾燥しやすい・敏感肌 □ 保湿をあまりしない □ 歯周病・歯肉炎があると言われたことがある □ お酒を毎日飲む □ 運動習慣がほぼない |
炎症老化(インフラメイジング)に関するよくある質問(FAQ)
Q1.炎症老化は何歳から意識すべき?
理想は20〜30代から。炎症老化の予防は「老化が目立ってから」ではなく「始まる前から」が鉄則です。ただし、50〜60代以上の方でも生活習慣の改善によって炎症マーカーが改善したという研究報告があり、何歳から始めても遅くはありません。
Q2.炎症老化は血液検査でわかる?
はい。血液検査でCRP(C反応性タンパク)・IL-6・TNF-αなどの炎症バイオマーカーを測定することで、体内の慢性炎症の程度を調べることができます。気になる方はかかりつけ医に相談してみましょう。
Q3.サプリメントで炎症老化を防げる?
オメガ3(EPA・DHA)・ビタミンD・クルクミン・ビタミンC・Eなどには抗炎症作用があるとされています。ただしサプリメントはあくまで補助。バランスの良い食事・適度な運動・良質な睡眠という生活習慣の改善が基本です。
Q4.スキンケアだけでも炎症老化を防げる?
スキンケアは「外からの炎症抑制」に有効ですが、体内からの慢性炎症には限界があります。内側(食事・運動・睡眠)と外側(スキンケア)の両方からアプローチすることが最も効果的です。
Q5.炎症老化を防ぐために、まず何から始めればよいですか?
炎症老化の対策は、特別な治療を始める前に「基本的な生活習慣とスキンケアを整えること」から始めるのが大切です。例えば、毎日の紫外線対策、十分な保湿、摩擦を減らしたやさしい洗顔などのスキンケアに加え、バランスのよい食事や適度な運動、質の高い睡眠を意識することが重要です。炎症老化は短期間で起こるものではなく、日々の生活の積み重ねと関係しています。そのため、無理のない範囲で習慣を少しずつ改善していくことが、将来の肌や健康を守ることにつながります。
Q6.炎症老化はどのくらいの期間で改善しますか?
炎症老化は、長い時間をかけて体内で進行する慢性的な炎症状態と関係しているため、短期間で劇的に変化するものではありません。しかし、紫外線対策や保湿などのスキンケアを見直し、食事や運動、睡眠などの生活習慣を整えることで、肌環境や体の状態が徐々に改善する可能性があります。数週間から数か月単位で継続することが大切です。
Q7.炎症老化は若い人にも関係ありますか?
炎症老化は加齢とともに注目される概念ですが、紫外線やストレス、食生活の乱れなどの影響によって、若い世代でも慢性的な炎症状態が起こる可能性があります。特に紫外線対策や保湿ケアを怠ると、将来の肌老化につながる可能性があります。そのため20〜30代から基本的なスキンケアや生活習慣を整えることが、将来の肌を守るために大切です。
Q8.炎症老化対策にはどんな栄養素が重要ですか?
体内の炎症を抑えるためには、抗酸化作用や抗炎症作用をもつ栄養素を意識することが大切です。例えばビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、オメガ3脂肪酸などは、体内の酸化ストレスや炎症反応に関係する栄養素として知られています。緑黄色野菜、果物、青魚、ナッツ類などをバランスよく取り入れることが、炎症老化対策の食生活としておすすめです。
まとめ
炎症老化(インフラメイジング)は、自覚症状のないまま体内で進行する慢性的な低度炎症と関係する老化現象です。シワ・たるみ・くすみなどの肌老化はもちろん、糖尿病・動脈硬化・認知症など深刻な疾患リスクとも関連しています。
しかし朗報があります。炎症老化は遺伝子で決まる宿命ではなく、生活習慣の改善によって大きくコントロールできます。日焼け止め・保湿・抗炎症食・適度な運動・質の高い睡眠・ストレス管理……。これらの積み重ねが、10年後・20年後の「見た目年齢」に大きな差をつけます。
まずはこの記事のチェックリストを参考に、「今日から変えられること」を一つずつ実践してみてください。炎症老化を制する者は、エイジングを制するといっても過言ではありません。
参照論文
本記事の科学的根拠として、以下の査読済み論文を参照しています。
【1】[López-Otín C, Blasco MA, Partridge L, Serrano M, Kroemer G. Hallmarks of aging: An expanding universe. Cell. 2023.
PMID: 36599349 DOI: 10.1016/j.cell.2022.11.001
日本語要旨:2013年に提唱された「老化のホールマーク」をアップデートし、老化に関わる12の主要要因(慢性炎症・腸内細菌叢の変化・オートファジー低下などを含む)を体系的に整理したレビュー。各要因が相互連関し、介入により老化の進行を遅らせ得るという枠組みを示している。
【2】Franceschi C, Garagnani P, Parini P, Giuliani C, Santoro A. Inflammaging: a new immune-metabolic viewpoint for age-related diseases. Nat Rev Endocrinol. 2018.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30046148/
PMID: 30046148 DOI: 10.1038/s41574-018-0059-4
日本語要旨:慢性的な低度炎症が老化や生活習慣病の共通基盤であるという「インフラメイジング」概念を解説したレビュー。糖尿病、動脈硬化、神経変性疾患など多くの加齢関連疾患に炎症が関与することを示している。
【3】Baker DJ, Childs BG, Durik M, et al. Naturally occurring p16Ink4a-positive cells shorten healthy lifespan. Nature. 2016.
PMID:26840489 DOI: 10.1038/nature16932
日本語要旨:老化細胞を除去することで寿命延長と老化表現型の改善が起こることをマウスモデルで示した研究。老化細胞が分泌するSASP因子が周囲組織の炎症や機能低下を引き起こすことが示され、炎症老化の重要なメカニズムとして注目されている。
【4】Blackburn EH, Epel ES, Lin J. Human telomere biology: A contributory and interactive factor in aging, disease risks, and protection. Science. 2015.
PMID: 26785477 DOI: 10.1126/science.aab3389
日本語要旨:テロメア短縮が細胞老化や慢性炎症と関連することを示したレビュー。テロメアの短縮は細胞機能の低下やDNA損傷応答を誘導し、炎症や加齢関連疾患のリスク上昇と関係することが示されている。
【5】Thevaranjan N, Puchta A, Schulz C, et al. Age-associated microbial dysbiosis promotes intestinal permeability, systemic inflammation and macrophage dysfunction. Cell Host Microbe. 2017.
PMID: 28407483 DOI: 10.1016/j.chom.2017.03.002
日本語要旨:加齢に伴う腸内細菌叢の変化が腸管バリア機能低下を引き起こし、全身性炎症を促進することを示した研究。リーキーガットと炎症老化の関連を示す重要な研究として知られている。
【6】Singh VP, Bali A, Singh N, Jaggi AS. Advanced glycation end products and diabetic complications. Korean J Physiol Pharmacol. 2014.
PMID: 24634591 PMCID: PMC3951818 DOI: 10.4196/kjpp.2014.18.1.1
日本語要旨:終末糖化産物(AGEs)が炎症反応や酸化ストレスを誘導し、糖尿病や動脈硬化などの慢性疾患に関与するメカニズムを解説したレビュー。
【7】Shiseido Co., Ltd. M1/M2 macrophage balance contributes to skin aging (research report).2020.
日本語要旨:資生堂の研究により、皮膚に存在するマクロファージのM1(炎症型)とM2(修復型)のバランスが皮膚老化に関与する可能性が示された。炎症を抑えるだけでなく、炎症を終息させる「消炎症(resolution)」という概念が皮膚エイジングケアに重要であると提案されている。
【8】Shivappa N, Steck SE, Hurley TG, Hussey JR, Hébert JR. Designing and developing a literature-derived dietary inflammatory index. Public Health Nutr. 2014.
PMID: 23941862 DOI: 10.1017/S1368980013002115
日本語要旨:食事が体内炎症状態に与える影響を数値化する指標として「Dietary Inflammatory Index(DII)」を開発。抗炎症食と炎症促進食の評価指標として広く用いられている。
【9】Pedersen BK, Febbraio MA. Muscles, exercise and obesity: skeletal muscle as a secretory organ. Nat Rev Endocrinol. 2012.
PMID: 22473333 DOI: 10.1038/nrendo.2012.49
日本語要旨:運動により骨格筋から分泌されるミオカインが炎症を抑制し、代謝改善や抗炎症作用を持つことを示した研究。
【10】Irwin MR. Sleep and inflammation: partners in sickness and in health. Nat Rev Immunol. 2019.
日本語要旨:睡眠不足が炎症性サイトカインの上昇と関連し、慢性炎症や疾患リスク増加に関係することを示したレビュー。
【11】Black DS, Slavich GM. Mindfulness meditation and the immune system: a systematic review. Ann N Y Acad Sci. 2016.
PMID: 26799456 PMCID: PMC4940234 DOI: 10.1111/nyas.12998
日本語要旨:瞑想やマインドフルネスが炎症性サイトカインを低下させる可能性を示したレビュー。ストレス管理による炎症制御の可能性を示唆。
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