シワ改善の効能を取得した医薬部外品は、2023年に4つになりました。
レチノール、ナイアシンアミド、ニールワンにライスパワーNo.11+とdl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムMが加わりました。
この記事では、5成分の効果や安全性などの違いについて解説します。また、美容医療によるシワ改善効果との違いについても触れます。
CONTENTS
1.シワ改善が期待できるのは医薬部外品
誰もがエイジングで気になる肌悩みの代表といえば、シワ。
目元や口元ほか額などでも目立ってきます。
若い時は、乾燥を改善すれば小ジワが目立たくなっていたのに、30代、40代と年齢を重ねると、普段の保湿ケアだけでは改善が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。
そんな場合に力を発揮するのが「シワ改善」の効能を取得したクリームや美容液です。
これらは、シワの改善に有効であることを抗シワ機能評価試験(臨床試験)で検証された成分が配合された「医薬部外品」です。
「シワ改善」の医薬部外品は、薬局・薬店や化粧品専門店、百貨店でも買えますし、アマゾンや楽天ほか、インターネットや通信販売で買うことが可能です。
また、医師や薬剤師の指導なども不要です。
そのため、セルフケアでシワ対策を開始したい場合は、お手軽な方法です。
ただし、美容クリニックで行われる機器や薬剤を使った施術、医薬品でのシワ改善に比べると、効果は緩やかで限界があります。
シワには表皮、真皮、表情筋、皮下組織などのさまざまな部位が原因で起こります。
シワの改善の有効成分配合の医薬部外品(薬用化粧品)は、浅いシワを目立たなくしたり、今ある深いシワを深くしないなどの予防ができる一方、たるみによる深いシワなどにはあまり効果が期待できないのです。
この記事では、レチノール、ナイアシンアミド、ニールワン、ライスパワーNo11+、安定化ビタミンE誘導体dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM(VEP-M)の4つのシワ改善成分の効果や安全性などの違いについて解説します。また、美容医療によるシワ改善効果との違いについても触れます。
シワを予防したい、シワを改善したいと考えている方は、ぜひ、チェックしてください。
<監修医からのメッセージ>
化粧品にもシワを改善するドクターズコスメが増えています。 たとえば、レチノールを使ったゼオスキンやエンビロンなどが有名です。
一方、市販のものでも「シワ改善」の有効成分を含む医薬部外品が増えてきました。 これらに含まれる成分は、ヒトによる臨床試験を一定基準でクリアしたものなので、シワ改善にある程度の効果が期待できます。 そのため、比較的浅いシワに対する日々のスキンケアやエイジングケアには適しています。
しかし、シワには原因によってさまざまなタイプのものがあるため、すべての種類に効果を発揮するわけではありません。 また、あくまで医薬部外品なので、医薬品や美容医療の施術と比べればシワ改善効果は緩やかです。 ですから、深いシワや表情ジワ、たるみが原因のシワなどには効果が期待できません。 そんな場合は、美容医療のシワ治療の出番となります。
シワは、30代以上のエイジングケア世代の方にとっては最も多い肌悩みの一つです。 そして、今では改善の手段が増えています。 医薬品部外品によるシワ対策は、比較的軽度なシワの日常的なケアです。 それでも効果が不十分な場合は、美容クリニックで相談することをおすすめします。 |
<参考記事>
2.シワの改善に有効な4つの成分をチェック
「シワ改善クリーム」など、シワの改善をパッケージに明記している医薬部外品の薬用化粧品には、シワの改善効果が承認されている成分が配合されています。
ここでは、シワの改善に有効な5つの成分「レチノール」、「ナイアシンアミド」、「ニールワン」、「ライスパワーNo11+」「安定化ビタミンE誘導体dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)」についてそれぞれ解説します。
これらは、日本香粧品学会が定めた抗シワ評価ガイドラインに則って、試験が行われパスしています。
<シワ改善成分の違い>
成分・メーカー | はたらき | メリット | デメリット |
レチノール (資生堂) | コラーゲンを増やす ヒアルロン酸を増やす | 効果が高い ニキビやシミ改善効果もある | 刺激がある |
ナイアシンアミド (花王・コーセーほか) | コラーゲンを増やす セラミドを増やす | 敏感肌でも使える シミ改善、肌荒れ改善にも使える コストが安い | 効果が緩やか |
ニールワン (ポーラ) | 好中球エラスターゼを阻害してシワを防ぐ | ユニークな作用機序 シワ予防効果あり | 価格が高く商品数が少ない |
ライスパワーNo11 | 表皮、基底膜、真皮の3層へアプローチしてヒアルロン酸、コラーゲンを増やす | 皮膚水分保持能の改善も可能で敏感肌でも使える | 商品数が少ない |
VEP-M (メナード) | ヒアルロン酸を増やす セラミドを増やす コラーゲン分解を防ぐ | 敏感肌でも使える 抗酸化作用がある 肌荒れ改善にも使える | シワ改善の製品としての実績が少ない |
1)レチノール
レチノールは、比較的、古くから使われていた成分でビタミンAの一種です。
油溶性であるため美容液やクリームと相性が良い成分です。
肌のターンオーバーを整え、ヒアルロン酸の生成やコラーゲンの生成を高めるはたらきによって、シワを改善する効果が期待できます。
また、シワ対策以外では、ニキビの治療やシミの治療にも使われてきました。
レチノールには光や熱に弱く安定性が低いといった問題があり、扱い難しいというデメリットがありました。
資生堂は、それらの問題を解消した「純粋レチノール」を開発し、2017年に厚生労働省によってシワ改善の効果が認められました。
<参考記事>
【美容家監修】レチノール配合美容液のおすすめ20選!選び方も徹底解説!
2)ナイアシンアミド
ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)は、ビタミンB3のことです。
シワ改善としては、一般に「リンクルナイアシン」と呼ばれます。
水溶性であるため化粧水や美容液と相性の良い成分です。
セラミドを増やすはたらきがあることから「肌荒れ改善」の有効成分として、また、メラニン色素の生成を抑えてシミを予防することから「美白成分」として、医薬部外品の承認を得ていました。
コーセーの申請によって、2017年に厚生労働省によりシワ改善の効果が認められました。
エネルギー産生や脂質・アミノ酸の代謝に関わっています。肌を健やかに保つさまざまなはたらきをしており、表皮の上層部ではセラミドの合成を促して水分を保持します。
また、真皮ではコラーゲンの産生を促しています。こういったはたらきにより、シワを改善する効果が期待できるのです。シワ改善に有効な3つの成分の中で唯一、水溶性のため汎用性が高く、化粧水やジェルなどのみずみずしさのある商品にも配合することができます。また、コストパフォーマンスが良いため価格の安い化粧品にも配合されており、継続して使いやすいことも魅力となっています。
<参考記事>
ナイアシンアミドの効果は?話題のシワ改善化粧品のおすすめ紹介!
3)ニールワン
正式名称は、「三(さん)フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na」です。
ポーラがシワのできるメカニズムを研究した結果、開発されたユニークな成分で、好中球エラスターゼを阻害することでシワを予防・改善します。
そのメカニズムは次のとおりです。
白血球の一種である好中球が紫外線などによる小さな炎症を傷と勘違いしてしまい、好中球エラスターゼという酵素を過剰放出してしまいます。好中球エラスターゼは、真皮のコラーゲンなどを分解するはたらきがあります。
そのため、好中球エラスターゼの過剰な発生を抑えることができれば、シワを予防・改善できるのです。
ニールワンは、この好中球エラスターゼの活性を低下させることが研究でわかっています。
つまり、好中球エラスターゼの過剰な発生を抑えるのです。
ニールワンは、ポーラの申請によって2016年に医薬部外品のシワ改善有効成分として厚生労働省に承認されました。
4)ライスパワーNo.11+
ライスパワーエキスは、勇心酒造が開発した米由来の成分です。
国産米100%を原料にして、「日本型バイオ®」によってつくられます。
ライスパワーNo.11は、2001年に従来にはなかった「皮膚水分保持能の改善」という新規効能を持つ医薬部外品の有効成分として認められました。
ライスパワーNo11+は、ライスパワーNo.11を発展させ、高い効果でありながら敏感肌でも使える最新のシワ改善成分です。
エイジングケアにおいて重要な「シワ改善」と「皮膚水分保持能の改善」の2つの「改善」効果を同時に持つ医薬部外品の有効成分として日本で初めて認められた唯一の成分です。
ライスパワーNo.11+は、表皮や真皮への直接アプローチによるシワ改善効果に加えて、シワと関係の深い基底膜までもケアすることが大きな特徴です。肌の3 層に同時に働きかけ、表皮ヒアルロン酸、基底膜コラーゲン、真皮のコラーゲンなどを増やします。
5) dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、ビタミンEの安定性を高めた成分で、安定化ビタミンE誘導体とも呼ばれます。
ビタミンE(トコフェロール)は油溶性のビタミンでは高い抗酸化能があります。
一方、光や空気などにより変化しやすく、また、水に溶けにくいため、化粧品へ配合しにくい成分でした。
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、ビタミンEの安定性、溶解性を高め、高い安定性と水への溶解性を持ったビタミンE誘導体として、2023年メナードの申請により、シワを改善する医薬部外品有効成分として厚生労働省から承認を受けました。
dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)には、ヒアルロン酸やセラミドを増やすはたらきがあります。
また、その後、真皮のコラーゲンの分解を抑える効果を発見しました。そのため、真皮にもアプローチすることで、より幅広いシワ悩みに対応できると期待されています。
さらに、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)は、肌あれ予防効果の承認を得ています。
<参考記事>
安定化ビタミンE誘導体VEP-Mは4番目のシワ改善の医薬部外品
『カズレーザーと学ぶ。』で紹介されたビタミンE誘導体のトコフェリルリン酸Naって?
3.シワの種類と医薬部外品によるシワ改善効果の限界
1)医薬部外品とは?
スキンケアやエイジングケアに使うアイテムは、は薬機法によって「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」の3つに分類されています。
「医薬品」は、厚生労働省によって効果が認められている有効成分が配合された治療を目的とした「薬」です。
「医薬部外品」にも厚生労働省によって効果が認められた有効成分が一定の濃度で配合されています。しかし、医薬品より効果が穏やかで、副作用も小さいものです。
「化粧品」は3つの中ではもっとも効果が緩和なもので、もともと健やかである肌の状態を保つ、清潔にする、魅力を増すなどを期待しているものです。
効果の大きさ | 医薬品 > 医薬部外品 > 化粧品 |
安全性の高さ | 化粧品 > 医薬部外品 > 医薬品 |
2)医薬部外品で改善できるシワ野種類は?
シワは原因によって大きく4つに分かれます。
それらは、小ジワ、真皮ジワ、表情ジワ、たるみによるシワの4つです。
小ジワは、ちりめんジワとも呼ばれ、乾燥や摩擦で肌の表面にできる浅く細かいシワです。
真皮ジワは、大ジワとも呼ばれ、肌の奥の真皮のコラーゲンやエラスチンの減少によっておこる溝が深いシワです。
表情ジワは、表情の変化やクセによってできるシワで、加齢とともにシワが固定されてしまいます。
たるみジワは、真皮の衰えに加えて、より奥の皮下組織や靭帯(リガメント)の衰えによってたるみができ、目立つシワです。
医薬部外品で改善できるのは、主に小ジワです。また、真皮ジワもある程度の改善が期待できます。
しかし、表情ジワやたるみジワの改善は期待できません。
<シワの種類と医薬部外品の改善効果>
シワの種類 | 医薬部外品で改善 |
小ジワ | ◎ |
真皮ジワ | ○〜△ |
表情ジワ | × |
たるみによるシワ | × |
<シワの種類と対策>
3)抗シワ機能評価試験ガイドラインから見る医薬部外品の効果
抗シワ機能評価試験ガイドラインでは、医薬部外品の場合、有効成分配合製剤塗布群とプラセボ塗布群との二重遮蔽法による比較で試験を行います。
試験期間は、医薬部外品では2カ月以上です。
評価項目は、次の2つです。
- 目視評価あるいは写真評価によるシワ改善の変化
- 機器測定の両方においてシワ改善の変化
この2つともに、統計的に有意差があると、「シワを改善する」医薬部外品と承認されます。
その際に、シワの深さの基準として、『シワグレード標準』が使われます。
グレードはシワが浅い順に0〜7までの8つあります。
グレード | 状態 |
グレード0 | シワは無い |
グレード1 | 不明瞭な浅いシワが僅かに認められる |
グレード2 | 明瞭な浅いシワが僅かに認められる |
グレード3 | 明瞭な浅いシワが認められる |
グレード4 | 明瞭な浅いシワの中にやや深いシワが僅かに認められる |
グレード5 | やや深いシワが 認められる |
グレード6 | 明瞭な深いシワが認められる |
グレード7 | 著しく深いシワが認められる |
このグレードでシワ改善の医薬部外品が効果を発揮するのは、グレード5が限界と考えられています。
グレード6以上は、美容医療による改善が必要です。
<参考>
シワの4種類(小ジワ・真皮じわ・表情じわ・たるみ)の症状・原因・対策
ほうれい線とシワは違うの?同じ?原因から考えるエイジングケア
4.シワ改善の美容液やクリームの選び方
シワ改善の美容液やクリームの選び方をご紹介します。
基本的には、ここで紹介している5つの医薬部外品が配合されたものを選ぶことがおすすめです。
しかし、それ以外でも検討する要素が4つあります。
1)医薬部外品有効成分配合がおすすめ
シワ改善の有効成分は、レチノール、ナイアシンアミド、ニールワン、ライスパワーNo11+、dl -α-トコフェリルリン酸ナトリウムM (VEP-M)の5つだけです。
いずれも厚生労働省認可の承認を受けた医薬部外品の成分です。
したがって、確実にシワ改善の効果を期待したいなら、これらの4つの有効成分が明記されている医薬部外品から選ぶのがおすすめです。
代表的な製品は次の4つです。
製品名 | メーカー | 有効成分 | 容量 | 価格(税込) |
リンクルリフト ディープレチノホワイト5 | 資生堂 | レチノール | 20g | 14,740円 |
PSA ターゲットエフェクト アドバンスト G | 資生堂 | レチノール | 23g | 13,794円 |
リンクルショット メディカルセラムN | ポーラ | ニールワン | 20g | 14,850円 |
ソフィーナ リンクルプロフェッショナル | 花王 | ナイアシンアミド | 20g | 6,050円 |
アトピスマイルフォルテ バリアチューニングセラム | 勇心酒造 | ライスパワーNo11+ | 50g | 5,500円 |
薬用ラインズ リセット | メナード | VEP-M | 45mL 20mL | 2,2000円 1,1000円 |
ほかにも、資生堂のブランド「イプサ」でレチノール配合のものがあります。
また、ナイアシンアミド配合のシワ改善の医薬部外品は多くの種類があります。
2)十分な保湿力はある?
4つのシワ改善の有効成分に加えて、ほかの保湿成分もチェックすることが大切です。
なぜなら、乾燥を防ぐことでシワが予防できるからです。
肌のバリア機能を守るアミノ酸やアミノ酸誘導体ナールスゲン、セラミド(特にヒト型セラミド)、ヒアルロン酸、コラーゲンなどがおすすめです。
また、スクワランなどのエモリエント成分は角層を柔軟にし、皮膚をなめらかにします。
4つのシワ改善の成分のうち、乾燥を防ぐ点では、セラミドを増やすナイアシンアミドやdl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムM配合の医薬部外品がおすすめです。
<参考記事>
3)低刺激で肌への負担が少ない
シワ改善の美容液やクリームは、長く使い続けることが前提になります。
また、皮膚は薄くてデリケートな目元や口元へ使うことが多くなります。
その点では、肌への刺激や負担の少ないものを選ぶことが大切です。
肌への刺激のリスクのある成分としては、防腐剤や香料、着色料、アルコールなどがあります。
できればこれらがフリーのものがおすすめです。
また、アレルギーテスト・パッチテスト済みのものもおすすめです。
しかし、実際に合う・合わないは使ってみるまではわかりません。
店舗で購入する場合は、テスターなどで試しましょう。
また、通信販売の場合は、少量のもので試したり返品保証のあるものを選びましょう。
特に、敏感肌の方は、できるだけ優しいシワ改善アイテムを選びましょう。
<参考記事>
4)続けられる価格か?
レチノール、ニールワン、ナイアシンアミド、VEP-Mを配合したシワ改善のクリームは概して価格が高くなります。
これらを配合した医薬部外品であっても、短期間でシワが改善するわけではありません。
たとえば、最新のVEP-Mのデータでは、試験期間は12週間、つまり約3カ月です。
そのため、数カ月以上は使い続けることが大切です。
価格を考慮し、使い続けることができるシワ改善の医薬部外品を選びましょう。
4つの中では、ナイアシンアミド配合の医薬部外品の価格が最も安い傾向にあります。
5)使用感は好みか?
化粧品や医薬部外品を選ぶ際はテクスチャーも大切です。毎日使うものですから、好みのものを使いたいですね。
テスターや少量から使ってみて、自分の好みのものを選びましょう。
<編集長コラム>
<良いエイジングケア化粧品で代用は可能?>
1つの割り切りとして、医薬部外品を選ばず、レチノールやナイアシンアミド、トコフェリルリン酸ナトリウムなどを配合したエイジングケア化粧品を選ぶことも選択肢の一つです。 医薬部外品の場合は、申請が必要であり、一定濃度のシワ改善成分が配合されています。 一方、化粧品でもレチノールやナイアシンアミド、トコフェリルリン酸ナトリウムを使うことが可能です。実は、医薬部外品でも化粧品でも同じ効能・化学構造を持つ成分を使うことが可能です。 たとえば、レチノールに近い成分なら、刺激が少ないパルミチン酸レチノールやレチノイン酸トコフェリルがあります。 また、化粧品の場合は、申請や許認可などの工数が少なく、医薬部外品よりも価格が安い傾向にあります。 もちろん、「シワ改善が可能」とは訴求できせんが、医薬部外品に手が届かない場合は、日常のケアのアイテムとして、これらの成分が入ったエイジングケア化粧品を使うことも選択肢の一つです。 |
<参考>
しわ対策におすすめの美容液20選!ふっくらハリ肌になる選び方のコツも詳しく解説!
しわ取りクリームは本当に効く?おすすめの選び方と使い方のコツ
5.シワ改善化粧品の使い方
スキンケアやエイジングケアのアイテムは、正しく使うことが大切です。
医薬部外品のシワ改善のアイテムも同じです。
基本的には、それぞれのアイテムに記載の使用方法や、販売メーカーが提供している情報に則って正しく使うことがポイントです。
1)使う順番を適切に
化粧品や医薬部外品は、水分の多いものから油分の多いものの順番で使うのが基本です。
洗顔後の基本的なアイテムの順番は、化粧水、美容液、乳液、クリーム、オイルです。
シワ改善アイテムが、美容液なら3番目、クリームなら5番目になります。
美容液を2種使う場合は、テクスチャーが軽いほうから使いましょう。
<参考記事>
化粧水、美容液、乳液、保湿クリームの役割の違いとつける順番は?
2)使用量は適量で
シワ改善の美容液やクリームは、適量を使うことが大切です。少なすぎると期待する効果が発揮できません。また、摩擦で肌ダメージになるリスクもあります。
一方、過剰に使っても本来のポテンシャル以上の効果を発揮するわけではなく、無駄になってしまいます。
各アイテムが推奨する使用量を守りましょう。
<参考記事>
3)上手に塗ろう
シワ改善の美容液やクリームの効果を十分に発揮させるためには、正しく塗ることが大切です。
美容液でもクリームでも顔全体など広範囲に塗る際は、手のひらに適量をつけたあと、あごから耳にかけて顔全体をリフトアップするように均一になじませましょう。
その上で、特にシワが気になる部分があるなら、そのパーツに重ね付けしましょう。
ポイントは、シワに対して垂直に伸ばすように塗ることです。
最後にハンドプレスを行うこともおすすめです。
一方、目元などのシワには、クリームを指先に付けて下から上、内側から外側に向かって優しく塗りましょう。
<参考記事>
6.医薬品トレチノインでもシワが改善できる?
1)トレチノインとは?
トレチノインとは、レチノールやレチナールと同じくビタミンAの誘導体です。
レチノイン酸とも呼ばれます。
トレチノインこそが、ビタミンAの活性本体で、生理作用はレチノールの50倍~100倍もあるといわれています。
つまり、効果が高く、その分刺激をも強いため、医薬品として扱われます。
トレチノインは、アメリカで難治性ニキビの治療薬として認知されました。その後、シミやシワなどの紫外線による皮膚の老化にも効果を発揮することがわかり、広く使われるようになりました。
現在、日本でもシワの改善やニキビ、シミ・そばかすなどの治療に使われています。
2)トレチノインの効果発揮のメカニズム
トレチノインの皮膚に対する作用は5つあります。
- ターオーバーの促進で角質を剥がす
- 表皮の細胞分裂を促進し、皮膚の再生を促す
- 皮脂腺のはたらきを抑え、皮脂の分泌を抑えニキビを改善
- 表皮のヒアルロン酸などの分泌を高め、皮膚の潤いを高める
- 真皮のコラーゲンの生成を促し、シワを改善する
この作用はレチノールよりも強力で、深いシワでもある程度改善が期待できます。
しかし、皮下組織やリガメントの衰えによるたるみで目立つシワには効果が期待できません。
<参考記事>
7.医薬部外品と美容医療の施術のよるシワ改善の差は?
医薬部外品のシワ改善の美容液やクリーム、医薬品であるトレチノイン以外に、美容クリニックで医療機器や薬剤を使った施術によるシワ改善治療があります。
ここでは、代表的な施術3つを簡単に紹介するとともに、医薬部外品との効果の違いについても解説します。
1)HIFU(ハイフ)
HIFU(ハイフ)とは、正式名称「High Intensity Focused Ultrasound(高密度焦点式超音波)」です。
切らないたるみ治療の施術として、人気メニューの一つとなっています。
超音波を集約して肌に照射し、熱エネルギーを生み出し、肌の真皮から皮下組織、さらにその奥のSMAS筋膜までアプローチできる治療です。
医薬部外品との大きな違いは、アプローチする肌の深さが幅広いため、たるみによるシワ治療が得意なことです。
肌の土台を支えるSMAS筋膜を引き締めたあと、肌の再構築の過程でコラーゲンやエラスチンを増やします。
その結果、深いシワの改善も期待できます。
ダウンタイムもほとんどなく、所要時間は顔全体で20~30分間程度です。
治療後すぐに引き締め効果を感じ、その後、徐々にシワが改善し、2〜3カ月で効果がピー区に達します。持続期間は半年、長くて1年間程度です。
施術は、3カ月〜6カ月に1回がおすすめです。
<参考記事>
HIFU(ハイフ)の効果はいつからいつまで?持続期間と施術頻度を解説
ハイフ(HIFU)の種類とおすすめは?機種別の特徴・効果・痛みの違い!
2)ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸注射は、もっともよく知られているシワ治療の施術です。
薬剤を肌に埋め込むフィラー治療の代表格ですが、とても施術が簡単なことからプチ整形として人気メニューとなっています。
医薬部外品との大きな違いが、効果の即効性と大きさです。
シワが目立つ場所に注射でヒアルロン酸を埋めこむことで、肌がボリュームアップし、深いシワを即効で改善することが可能です。
また、額や目元、顎など、さまざまな部位のシワやほうれい線にアプローチできます。
しかし、小じわ(ちりめんジワ)や目元の細かいシワにはあまり向いていません。これらには、ベビーコラーゲンの注射を使うことが多いです。
ヒアルロン酸の種類や量、個人差で違いはありますが、効果は3~1年程度持続します。
ダウンタイムも小さい点がメリットです。
<参考記事>
ヒアルロン酸注射の肌への効果・持続期間はいつまで?ボトックスとの違いも解説!
3)ボトックス注射
ボトックス注射とは、A型ボツリヌス毒素を有効成分とした医療で使う注射です。
「アセチルコリン」という神経伝達物質のはたらきを弱める作用があります。
「毒素」と聞くと不安に思う方がいるかもしれませんが、ボツボツリヌス菌から毒性のないタンパク質のみを抽出しているため安全です。
医薬部外品との大きな違いとして、ボトックス注射は、施術後2~3日で表情ジワに大きな効果を発揮することです。
額の横ジワや眉間の縦ジワ、目尻のシワなど、表情筋が原因のシワ治療が得意です。
また、最近では、マイクロボトックスという筋肉の動きを止めない施術の場合、表情をあまり変化させずにたるみやシワを改善できます。
治療時間は10分程度です。
効果の持続期間は、使用するボトックスの種類や量、個人差で異なりますが、3~8カ月程度持続します。
ダウンタイムもほとんどありません。
<参考記事>
ボツリヌストキシン注射とは?効果・副作用やボトックスとの違い
マイクロボトックスの効果やデメリットは?ボトックスとどう違う?
8.シワの改善についてのよくある質問
Q1. ゼオスキンやエンビロンでシワは改善する?
美容クリニック専売のゼオスキンやエンビロンは、医薬部外品ではなく化粧品です。
これらは、医薬部外品以上に高濃度でレチノールを配合しているものもあります。
そのため、シワ改善が期待できる可能性が高いといえます。
また、市販のレチノール配合化粧品やナイアシンアミド配合化粧品がシワにまったく効果がないとはいえません。
試験をしていないため、改善できるというエビデンスはありませんが、配合濃度が高い場合は、一定の効果がある可能性が高いです。
Q2.化粧品成分でシワが改善するものはありますか?
基本的には、公式にシワ改善の効果があるものは、ここで挙げた4つの成分のみです。
ただし、そのはたらきからシワ改善の可能性を否定できない成分はあります。
たとえば、ビタミンC誘導体、ヒト幹細胞培養液エキス、プラセンタエキス、EGFやFGFなどのペプチド、ネオダーミル、ナールスゲンなどが挙げられます。
<参考記事>
Q3.シワ改善の医薬部外品はほうれい線にも効果がある?
シワとほうれい線は原因が似ています。
乾燥が原因で目立つ浅いほうれい線の場合には効果が期待できます。
また、真皮が原因である場合も、今以上にほうれい線が深くならないように状態をキープすることは可能です。
ただし、たるみによる深いほうれい線は化粧品では改善しません。
<参考記事>
ほうれい線とシワは違うの?同じ?原因から考えるエイジングケア
ほうれい線の原因と10代、20代、30代、40代、50代の特徴
Q4.シワの予防でおすすめの方法は何ですか?
シワの予防のためには、まず優しい洗顔、保湿ケア、紫外線対策を徹底しましょう。
また、日常の生活習慣も大切です。バランスの良い食事、質の高い睡眠、適度な運動などで体全体の健康を心掛けることにより、肌の若さも保てるため、シワの予防につながります。
そのほかには、表情筋のトレーニングやフェイスマッサージもあります。
しかし、いずれもやり方を誤ったり、鍛えすぎたりすると、逆効果となるため注意が必要です。
Q5.美容医療とシワ改善医薬部外品を組み合わせても良いですか?
シワ改善の医薬部外品だけで効果を感じるなら、美容医療は不要です。
一方、効果が不十分な場合は、美容医療との組み合わせがおすすめです。
どんな施術を受けるかは、クリニックでカウンセリングや診察を受けて、自分のシワに合ったものを提案してもらいましょう。
Q6.塗るボトックス「アルジルリン」は医薬部外品ではないのですか?
アルジルリンは、化粧品成分の表示名称「アセチルヘキサペプチド-8」というペプチドです。「塗るボトックス」と呼ばれ、「表情ジワ」を改善します。
しかし、医薬部外品ではなく化粧品成分です。
Q7.シンエイクとアルジリジンではどちらがシワに効果がありますか?
シンエイクは、化粧品成分の表示名称「ジ酢酸ジペプチドジアミノプチロイルベンジルアミド」というペプチド成分です。ヨロイハブ(ヘビ)に含まれる毒が筋肉を麻痺させて緊張をゆるめるはたらきに着目して開発された毒性のないペプチドで、表情ジワをできにくくします。
その効果は、アルジルリンの約6倍ともいわれています。
9.まとめ
シワ改善の効能を取得したレチノール、ナイアシンアミド、ニールワン、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウムMの4つの医薬部外品について特徴をご紹介しました。
また、その効果や安全性、効果の限界についても触れました。
シワには原因によっていくつかの種類があります。また、浅いシワから深いシワまでのグレードがあります。
シワ改善の医薬部外品は、比較的浅いシワは改善できますが、深いシワや表情ジワなどにはあまり効果が期待できません。
一方、美容医療はほとんどのシワ改善が可能です。
シワの状態や使える予算などに応じて、自分にピッタリな手段を選びましょう。
この記事が、医薬部外品でシワ改善を行いたい方のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
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