トコフェロール(ビタミンE)とは?化粧品ではどんな効果がある?

トコフェロール(ビタミンE)とは?化粧品ではどんな効果がある?

薬剤師

廣瀬安國さん

薬学部を卒業してから福岡の薬局へ就職。
地元へ帰ってから管理薬剤師を経験。
現在は、調剤薬局に従事しながらWEBライターとしても活動。
研修認定薬剤師。

廣瀬安國さんのブログ「薬剤師をいろいろ考えてみるブログ」

トコフェロールという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
トコフェロールとは、ビタミンEのことです。

ビタミンEは、油に溶けやすく水に溶けにくい性質をもっています。

体内では肝臓・脂肪組織・心臓・筋肉・血液・副腎・子宮など、多くの組織の細胞膜に蓄えられます。
また、次のような5つの働きがあります。

1) 抗酸化作用
細胞の酸化は、からだや肌の老化の原因となります。
関節節炎、ガン、白内障、糖尿病、アルツハイマー病などは、すべて酸化が原因の1つとなっている病気です。
また、酸化した悪玉コレステロールが増えすぎると、血管内に溜まってしまい動脈硬化の原因になります。
さらに、肌の酸化はシワやたるみの原因になります。

細胞の酸化を防ぐことは健康でいることや美肌のためにとても大切です。
ビタミンEには、酸化が進まないようにする働きがあります。
つまり、酸化による病気の予防効果や肌の老化の予防が期待できるのです。

2) 貧血の予防
活性酸素で赤血球の膜が酸化すると、貧血を起こすリスクが高まります。
ビタミンEには、抗酸化作用により赤血球の膜の酸化を防ぐ働きがあります。
つまり、貧血を予防する働きが期待できるのです。
この働きは女性にとっては特に嬉しい効果ではないでしょうか。

3) 血流の改善
ビタミンEには、血管の収縮を促す神経伝達物質の生成を抑えて毛細血管を広げる働きがあります。
その働きで、血流を改善する効果が期待できます。
そのため、肩こり、腰痛、冷え性、頭痛、しもやけ、痔など、末梢血管の流れの障害から起こる症状の予防や改善が期待できます。

4) 生殖機能の維持
ビタミンEは、副腎や卵巣にも蓄えられています。
そして、女性ホルモンの生成や分泌の調整をする脳下垂体によい影響を与え、生殖機能の維持をサポートします。

こうした健康や美肌に良いビタミンEは、医薬品・食品・サプリメント・飼料などに使われるほか、疾病の治療・栄養の補給・食品添加物の酸化防止剤として生活のさまざまな場面で活用されています。

では、化粧品成分のビタミンEにはどんな働きがあるのでしょうか?

化粧品成分としては、天然ではなく合成成分で「トコフェロール」と表示されます。
油溶性成分なので、水には溶けませんが油分とはよく馴染みます。
そのためエイジングケア美容液や保湿クリームによく配合されています。

実は、化粧品成分には水にも油にもなじみやすい両親媒性の「トコフェリルリン酸Na」というビタミンE誘導体もあります。
これは、エイジングケア化粧水などにも配合されています。

そんなトコフェロールやトコフェリルリン酸Naは化粧品ではどんな効果を発揮するのでしょうか?

まず、血行促進作用があることから肌のターンオーバーを正常に保つことが期待できます。
その結果、表皮が健康になりくすみの無いキメの整った肌がキープできます。

また、ターンオーバーが正常なら、メラニンを肌から排出するので色素が肌に沈着することを予防することが可能です。

さらに、トコフェロールの抗酸化作用は、他の化粧品成分の酸化を防ぐという役割もあるのです。

一方、トコフェロールの安全性はどうでしょうか?
刺激性などもほとんどなく、比較的肌への安全性が高い成分です。
そのため、敏感肌などで肌が弱い方でも使いやすい化粧品成分です。
また、エイジングケアにも向いている化粧品成分です。

フェイスオイルやクリーム、美容液、化粧水、またハンドケアやメイクアップアイテム、洗顔料、シャンプーなど幅広く使われています。

ぜひ、トコフェロールやトコフェリルリン酸Naを含む化粧品をエイジングケアに取り入れてはいかがでしょうか?

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