しわの最も大きな原因は、紫外線による光老化です。そのほか、乾燥・加齢(自然老化)・表情のクセ・生活習慣・栄養不足・摩擦なども関わります。この記事では、しわができるまでの5つのプロセスと7つの根本原因に加え、目元・おでこ・首など部位別の原因、肌質・年代による傾向まで、皮膚科学の視点で網羅的に解説します。
しわは、シミと並ぶ代表的な肌悩みです。しかし、その原因やできるしくみまで深く理解している方は多くありません。しわ対策は、原因を正しく知ることが第一歩です。この記事では、「なぜしわができるのか」を、メカニズム・7つの原因・部位別・肌質別の順に、できるだけ詳しく解説します。
CONTENTS
しわとは?まず原因の全体像をつかむ
しわとは、医学的には「加齢にともなって後天的に生じた皮膚の変形(溝)」です。突き詰めると、表皮と真皮の働きが低下し、肌を構成する成分が不均一になった状態を指します。
しわの原因は、加齢だけではありません。大きく分けると、加齢・栄養状態・生活習慣などの内的要因と、紫外線・乾燥・摩擦・表情のクセなどの外的要因が、複雑に絡み合って進みます。なかでも影響が大きいのが、紫外線による光老化です。
また、しわは見た目の印象を大きく左右します。肌表面の凹凸(しわやキメ)の手がかりが、顔の年齢の見え方の大きな部分を左右することは、研究でも示されています【1】。原因を正しく理解し、早めに予防・進行抑制に取り組むことが大切です。
なお、自分のしわがどの種類かをまず見分けたい方は、しわの見分け方と4種類のセルフチェック方法もあわせてご覧ください。
しわには種類があり、根本原因も異なる
しわは、深さと原因によって、小じわ(乾燥じわ)・真皮じわ・表情じわ・たるみじわの4種類に大きく分けられます。浅いしわの多くは乾燥が原因で、深いしわは真皮の衰えや、表情筋・支持組織の衰えによって生じます。同じ「しわ」でも、種類によって根本原因が異なります。
| 種類 | 深さ・特徴 | 主な原因 | 化粧品での見込み |
| 小じわ(乾燥じわ) | 浅く細かい | 肌の乾燥 | ◎ 目立たなくしやすい |
| 真皮じわ | 深い | 紫外線・加齢によるコラーゲン減少 | △ 限定的 |
| 表情じわ | 表情で出て定着 | 表情のクセ | × 美容医療が中心 |
| たるみじわ | 引き上げると目立たない | 支持組織の衰え | × 美容医療が中心 |
それぞれの見分け方(指で広げて消えるか、引き上げると目立たなくなるか など)と、種類別の具体的な対策については、4種類のセルフチェックと種類別対策で詳しく解説しています。本記事では、4種類に共通する発生のしくみと根本原因を掘り下げます。
しわができるしくみ|皮膚の構造と5つのプロセス
1)皮膚の構造としわの関係
肌は、表面から順に角層・表皮・真皮・皮下組織からできています。表皮はごく薄く、外部刺激から肌を守るバリア機能と、ターンオーバー(新陳代謝)を担います。一方、皮膚の厚みの大部分を占める真皮には、強い張力をもつコラーゲン(膠原線維)、弾力を生むエラスチン(弾性線維)、水分を抱えるヒアルロン酸などがあり、これらが肌のハリと弾力を支えています。加齢や紫外線でこれらの線維が減少・変性すると、真皮は張力を保てなくなり、表面に溝=しわが刻まれます。
2)しわが目立つまでの5つのプロセス
しわは、ある日突然できるのではなく、段階を踏んで目立っていきます。大まかには、①角質層の水分が不足して乾燥する、②表皮のバリア機能と柔軟性が低下する、③浅く細かい小じわが現れる、④紫外線や加齢で真皮のコラーゲン・エラスチンが減少・変性する、⑤弾力が失われ、深いしわやたるみへと進む、という流れです。初期は乾燥による浅い小じわでも、対策をしないまま進むと、真皮の衰えをともなう深いしわへ移行します。早い段階で気づき、予防することが、しわを深めないための鍵です。
3)自然老化と光老化|真皮の変性は主に光老化による
肌の老化は、年齢とともに進む「自然老化(加齢)」と、紫外線による「光老化」に分けられます。真皮の線維(コラーゲン・エラスチン)の変性・減少は、主に光老化によることがわかっています。紫外線を浴びると、真皮の線維を分解する酵素(MMP)が増え、過剰な酸化ストレスも生じて、コラーゲンやエラスチンが壊されます【2】。だからこそ、しわ予防では、日焼け止めなどの紫外線対策がとくに重要になります。
| 項目 | 自然老化(加齢) | 光老化(紫外線) |
| 主な要因 | 加齢・遺伝的素因 | 紫外線(UVA・UVB) |
| しわへの影響 | 真皮が徐々に薄くなる | コラーゲン・エラスチンの分解(深いしわの主因) |
| 対策の要 | 栄養・睡眠など全身の健康 | 日焼け止めなどの紫外線対策 |
<参考記事>
しわの見分け方|4種類(小じわ・真皮じわ・表情じわ・たるみ)の原因と対策
しわが目立つ7つの原因
ここからは、しわを引き起こす代表的な7つの原因を、詳しく見ていきます。
①紫外線(光老化)
しわの最大の原因です。紫外線を浴び続けると、真皮の成分を分解する酵素(MMP)が増え、コラーゲンやエラスチンが壊されることが、ヒトの皮膚を用いた研究で示されています【2】。真皮の変性は、加齢による自然な変化よりも、紫外線による光老化の影響のほうが大きいといわれます。長年の蓄積で、深いしわも小じわも刻まれます。
②乾燥
角質層の水分不足は、浅い小じわ(ちりめんじわ)の直接の原因です。大気の乾燥、エアコン、紫外線などで進み、若い方でも乾燥肌では目立つことがあります。乾燥による小じわのケアは、乾燥による小じわの対策で詳しく解説しています。
③加齢(自然老化)
年齢とともに、コラーゲンの生成力やターンオーバーが低下し、真皮が薄くなってハリが失われます。遺伝的な素因も関係します。加齢による真皮じわには、シワ改善が認められた医薬部外品の有効成分を取り入れる方法もあります。
④表情のクセ
眉を寄せる、目を細める、額を上げるといった動きの繰り返しが、表情じわを定着させます。乾燥でできたしわに表情のクセが重なると、深いしわになりやすくなります。代表例の眉間の縦じわは、表情のクセが大きく関わる部位です。
⑤生活習慣(睡眠不足・喫煙・ストレス)
睡眠不足や過度なストレスはターンオーバーを乱し、喫煙はコラーゲンの生成を妨げます。いずれも肌の回復力を下げ、しわの進行を早めます。生活習慣からのアプローチとしては、HSP(ヒートショックプロテイン)を活用した予防の考え方も知られています。
⑥栄養不足(タンパク質・脂質)
肌の材料となるタンパク質や、細胞膜・皮脂の材料となる脂質が不足すると、肌の修復力が落ちます。しわは、からだ全体の栄養状態とも関係します。
⑦摩擦・間違ったスキンケア
強くこする洗顔やクレンジング、過度なマッサージなどの摩擦は、かえって肌を傷め、しわの一因になります。とくに皮膚の薄い目元では注意が必要です。摩擦を避ける正しいスキンケアと化粧品の選び方を心がけましょう。
<参考記事>
部位別に見るしわの原因
しわのできやすさは、部位の皮膚の厚さや動きの大きさによっても変わります。気になる部位ごとに、原因を見ていきましょう。
1)目の下・目尻
目のまわりは皮膚が薄く皮脂も少ないため、乾燥しがちです。クレンジングで強くこすると乾燥が進み、ちりめんじわができます。長時間のパソコン・スマホで目が疲れ、血行が低下することも一因です。詳しくは目元のしわの予防と改善をご覧ください。
2)おでこ(額)
額は紫外線や乾燥の影響を受けやすい部位です。皮脂を取りすぎて乾燥したり、額を上下に動かすクセがあると、小じわや横じわが目立ちやすくなります。詳しくはおでこのしわの原因と対策をご覧ください。
3)眉間
考え事や不快なときに眉を寄せるクセがあると、眉間に縦じわが刻まれます。日々の積み重ねで、簡単には消えない深いしわになりやすい部位です。詳しくは眉間のしわを消す対策をご覧ください。
4)口元・ほうれい線
口元はよく動くうえ、頬の支持組織の衰えやたるみの影響も受けます。乾燥による口元の縦じわと、たるみによるほうれい線が重なりやすい部位です。詳しくは口元のしわの対策や、ほうれい線とシワの違いをご覧ください。
5)首
首は顔より皮膚が薄く乾燥しやすいうえ、スマホなどで下を向く姿勢が続くと横じわが刻まれます。意外と紫外線を浴びやすいことも原因です。詳しくは首のしわの原因と対策をご覧ください。
6)手の甲
手の甲は紫外線を浴びやすく露出も多いため、年齢が出やすいパーツです。よく使い、洗う回数も多いため乾燥も進みます。詳しくは手のしわの予防をご覧ください。
<参考記事>
しわができやすく目立ちやすいパーツ 目元、口元、おでこの特徴
肌質・年代別に見るしわの傾向
1)肌質別の傾向
乾燥肌やインナードライ(内側が乾く混合状態)の方は、角質層の水分が不足しやすく、浅い小じわが早く現れやすい傾向があります。脂性肌は乾燥小じわは出にくい一方、紫外線対策を怠ると深いしわが進むことがあります。普通肌でも、加齢や紫外線の影響は避けられません。自分の肌質を知り、不足しがちなケアを補うことが大切です。
2)年代別の傾向
20代では乾燥による小じわが中心です。30〜40代になると、紫外線の蓄積や加齢で真皮じわや表情じわが出はじめます。50代以降は、これに支持組織の衰えによるたるみじわが加わります。どの年代でも、早めの保湿と紫外線対策が、将来の深いしわを防ぐ鍵になります。
すべてのしわ予防の土台となるケアの基本
しわは種類によって「効く対策」が異なりますが、種類を問わず、予防と進行抑制の土台になるケアは共通しています。それが、保湿・紫外線対策・正しい洗顔の3つです。
1)正しい保湿でバリア機能を保つ
角層のうるおいを保つことは、乾燥による小じわの予防そのものです。セラミドやアミノ酸など、保湿力の高い成分でバリア機能を支えましょう。
2)紫外線対策で光老化を防ぐ
紫外線は真皮の老化を進める最大の要因です。日焼け止めは一年を通して使い、曇りの日や室内でも対策を続けることが、深いしわの予防につながります。とくに子どものうちからの紫外線対策が将来のしわ予防に有効とされています。
3)正しい洗顔で摩擦を避ける
強くこする洗顔は、肌のバリアを傷め、しわの一因になります。よく泡立てて、こすらずやさしく洗うことが基本です。
ここで紹介したのは、あらゆるしわに共通する「予防の土台」です。すでに刻まれてしまったしわに対する、種類別の具体的な改善策や化粧品・成分の選び方は、しわ対策化粧品の選び方で詳しく解説しています。日々のセルフケア全体は、シワ対策のセルフケア10選も参考になります。
<参考記事>
よくある質問(FAQ)
Q1. しわの一番の原因は何ですか?
紫外線による光老化が最大の原因です。真皮のコラーゲンやエラスチンが壊されることで、ハリが失われ深いしわが生じます。影響は、加齢による自然な変化よりも大きいといわれます【2】。
Q2. なぜ紫外線でしわができるのですか?
紫外線を浴びると、真皮の成分を分解する酵素(MMP)が増え、酸化ストレスも生じて、コラーゲンやエラスチンが壊されるためです。このしくみは、ヒトの皮膚を用いた研究でも示されています【2】。
Q3. 乾燥だけでもしわはできますか?
浅い小じわは、乾燥が主な原因です。一方で、深いしわには真皮のコラーゲン・エラスチンの減少や変性が関わります。乾燥小じわの段階で保湿ケアを始めることが、深いしわへの進行を防ぎます。
Q4. 食事や睡眠もしわに関係しますか?
関係します。タンパク質や脂質の不足、睡眠不足、喫煙などは、肌の回復力を下げ、しわの進行を早めます。しわは、からだ全体の状態を映す肌悩みでもあります。
Q5. おでこや首のしわの原因は何ですか?
おでこは表情のクセ・紫外線・乾燥が、首は皮膚の薄さ・下を向く姿勢・紫外線が主な原因です。部位によって原因の比重が異なるため、気になる部位に合わせたケアが有効です。
Q6. 20代でもしわはできますか?
できます。乾燥による小じわは、若い方でも乾燥肌であれば現れます。また、表情のクセによる表情じわも年齢を問いません。早めの保湿と紫外線対策が予防になります。
まとめ|しわは原因を知ることが対策の第一歩
しわは、表皮と真皮の働きが低下し、肌の構成成分が不均一になることで生じます。背景には、紫外線(光老化)を筆頭に、乾燥・加齢・表情のクセ・生活習慣・栄養不足・摩擦という7つの原因があり、これらが5つのプロセスを経てしわを深めていきます。部位や肌質、年代によっても、目立ちやすいしわは変わります。
予防の土台は、保湿・紫外線対策・正しい洗顔の3つです。そのうえで、自分のしわの種類を見極め、種類に応じた対策を選ぶことが、最短の改善につながります。種類別の見分け方と対策は、しわの見分け方と種類別対策をご覧ください。しわの原因・対策の全体像は、シワの原因と対策の完全ガイドでも解説しています。
<参考記事>
参照論文(エビデンス)
本記事の科学的根拠として、以下の査読済み論文を参照しています。
PMID: 18081752 DOI: 10.1111/j.1468-3083.2007.02512.x
日本語要旨:顔の見た目年齢や健康度の印象に、肌の色ムラと肌表面の凹凸(しわ・キメなど)がどう影響するかを調べた研究。肌表面の凹凸の手がかりが、顔の年齢の見え方の大きな部分を左右することを示しています。
PMID: 9358139 DOI: 10.1056/NEJM199711133372003
日本語要旨:紫外線を浴び続けると、肌のコラーゲンを分解する酵素が増え、真皮が壊されてしわやたるみにつながることを、ヒトの皮膚で示した研究。しわの主因である光老化のしくみを説明する、代表的な論文です。
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